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REvision  作者: ともやいずみ
第10の章「声に応えて、カーテンコールの、幕が上がる」
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10-4


***


 夢をみた。


 一度閉じた幕が再度上がり、その向こうから見知った彼らがこちらを見ていた。みんなが笑みを浮かべていた。

 最前列の客席にいたゆかりは、自分が拍手をしていたことに気づかなかった。けれど、賞賛の気持ちがあふれて、泣きながらずっと手を叩いていた。


 たった一人の拍手が響く中で、舞台の上に立っていた彼らは一歩だけ前に出る。


「頑張った頑張った。ほんとは私たちが拍手を送らなきゃいけないのにね。もー、泣きすぎだよ~」


 いつも通りに明るく笑う早霧さぎり


「イクトくんのことは、まあ最後に頑張ったし、いいでしょう。ちゃちゃっと告白しな!」

「ちょ! ぅ……ぐ。

 立花」


 話を振られた郁人がぎょっとするが、決意したようにまっすぐ声を向けてくる。


「ずっと好きだっ、た……!」

「よく言ったー! 言えなくて散々悶々としてたとか、誰も気づかなかったよね~ほんと」

「ち、茶化すな……!」

「仕方ないだろ。おまえは明らかに一号のこと意識してたように見えたし」

「そうそう。四号の言う通り! 俺も深雪もだまされたし」

「なんでおまえ、いつも一号を見てたんだ?」

「違う! み、見てたのは……八号、だ」

「え? 僕?」

「いつも一号と一緒にいたから……」

「まあ確かに、セーシローくんはユズちゃんにべったりだったしね~」

「ど、どうやって告白したのかって、ずっと気になって、て……」

「えーっ! 七号、恋の参考にしようとしてたの? ダメだって! 参考にならないよ八号は!」

「ひどいな三号……。八号がしょんぼりしてるぞ」

「そうだ。こいつは泣き虫なんだから、泣かせるようなことをするな。面倒だから」

「ユズさん。面倒とか言わないで……」

寡黙かもくキャラしてたから、わかりにくいったらないわ~。ただ単にかっこつけてただけなの?」

「喋るのは……得意じゃない、カラ……」

「ぼそぼそ喋るから誤解されるんだって! 八号は絶対に参考にしたらダメだからね! 中学生の俺がドン引きするくらい、手が早いんだから!」

「そ、そんなことないって! ユズさんが許可しない限り、そんなことしないって!」

「許可されたらすぐ手ぇ出すってことだぞ、八号」

「そ、そういう意味じゃない! 四号は僕をフォローしてよ!」

「無理。だっておまえ、ずっと一号との惚気のろけ話ばっかりしてたし」

「し、してな……っ! あー! ユズさん、違うよ! 違うから!」

「なにも言ってないだろ、わたしは」

「でも気になるのは私も」

深雪みゆき! その男だけはダメだ! 顔がいいだけの粘着質なんだから! にいちゃんは許さないぞっ」

「みんなボロクソに言うじゃん……八号がまたしょんぼりしてるし」


 あまりにいつも通りのやり取りに、ゆかりもつられて笑ってしまう。そのことに気づいて、彼らはまた微笑んだ。


「お疲れ様! ご褒美にイチオシの本、貸してあげる~!」

「おいっ! 立花になに渡す気だ、ヤメロ……!」

「お疲れ、六号」

「お疲れ様、六号。めちゃくちゃ頑張ってたの、見てたよ俺たち」

「うん。おつかれさま、ろくごう」

「よくやったな」

「お疲れ様。こんなねぎらいの言葉しか送れなくてごめんね」


 そして。後頭部を軽くき、郁人が頭を下げる。


「おれがもっとしっかりしてれば、立花にあんなに苦労をかけずに済んだ。……本当にすまない……!」


 彼は見えていない。深く頭をさげているから、周囲の、仲間たちが一歩下がってそんな彼を優しく見つめていることに。


 そして。


 そんな彼の無防備な背中を、六人が一斉に押した。


「わっ!」


 前に押し出された郁人が舞台から落ちる。ゆかりは慌てて席を立って、両手を伸ばした――――。



 ゆかりはまぶたを開く。雨はやんでいた。そして優しくのぞき込んできている相手に、微笑んだのだ。


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