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REvision  作者: ともやいずみ
第6の章「痴女と、彼と、一生の恋」
23/33

6-4


「ユズさんのこと、好き、で」


 懸命に伝えた時、唖然あぜんとしている彼女の表情に、振られると思った。


「せっかく元気になったんだから、おまえ、モテるだろうに」

「嫌だ! ユズさんがいい! ぜ、全部最初は、好きな人って決めてる。こんな顔してるけど、一途だよ。アピールするところ、あんまりないけど、欲しいのはユズさんだけだから、あ、え、と言い方おかしいよね。どうしよう、言い訳みたいになった……」

「おい……なにも泣くことないだろ」

「だ、だってユズさんモテるから……僕なんか、こんなに好きなのに」

「モテたことない。わたしを好きとか、勘違いとかじゃないのか?」


 怪訝けげんそうにする彼女の両手首をつかみ、見下ろす。


「ど、どれだけすれば本気だってわかってもらえるの、ユズさん。ほかの人にモテても意味なんてないよ。欲しいのはユズさんだけなんだから」

「お、おい……泣きめ」

「ご、ごめ……なんか、本当に男としてやっぱり見られてなくて……情けな……。ぐすっ」

「……そんなに好きなのか? わたしなんかが」

「好き。大好きだよ。好きすぎておかしくなりそう。わたしなんかって、言っちゃだめだよ」

「えぇ? どうすればいいんだ……? すごい泣くんだな、おまえ」

「ユズさんと結婚を前提にお付き合いしたい、です。お、お互い、その、高校生なのにって思うけど、ほ、本気だし……!」

「あー……。まあ、それで気が済むならいいけど」

「僕は本気なのに! 投げやりだよ、ユズさん!」

「あ、いや、恋愛経験ないからよくわからなくて……。まあいいよ。じゃあ今日からお付き合いっての、始めるか」

「ま、待ってユズさん! そんな簡単に決めたらダメだよ!」

「どっちなんだよ、おまえ」

「だ、だって僕、ユズさんの全部が欲しいから……ほかの男に目移りしたらなんかひどいことしそうで……! よく考えて!」

「両手で顔隠して言うことじゃないだろ」

「こんなこと言うの初めてなんだって……!」

「ふーん。まあ、勇気を出してくれたのか。なんかわたしができることがあるなら、遠慮なく言え」

「か、考えておくね!」

「ふっ。まあ有効期限ないから、お好きにどうぞ」


 アハハと思わず笑い声を出された。滅多に見せない笑顔を目にして、相当参ってしまったのは自覚があった。


「ユズさん、を、僕にください」


 返事など待たずに、どうしたっけ……。

 こんなやり取りしたっけ?


「大事にします。一生愛します。ユズさんしか欲しくない。ユズさんがいればいい」


 そして。


「まあいいけど」

「ユズさん! ちゃんと考えて! い、今のプ、プロポーズ、だからね」

「ははっ、泣きながら必死に言われたら、まあいいかなって」

「もう……お。お願い、思いついた」

「ん?」

「ユズさん、僕を――――()()()()()()()ね」



 は、とした。このやり取り、いつしたっけ……?

 今の関係は、なし崩しみたいに始まった。あとで告白は正式にしたが、こんな会話、ではなかった気がする。

 勝手に記憶を捏造ねつぞうしてる……? いや、今のは妄想? それとも夢でもみた? ひぃぃ、恥ずかしい!

 そんなに四六時中彼女のこをばかり考えてるとか、明らかにおかしいだろ!


「ユズさんがかっこいいからっていうのもあるけど、好みっていうのが最初の印象で」


 本当の最初の印象は痴女だったけど。


「ゆ、ユズさんは前向いて。恥ずかしいから」

「…………」

「今さらって顔してもダメ!」

「じゃあおまえも揉むのやめろ」

「それだよ! ユズさん、そうやってちゃんと僕をしかるんだよ?」

「叱られる前にやめろ」


 優しくユズさんの顔を前に向かせる。こっちは見ないで欲しい。

 背後から彼女を下心なくぎゅう、ともう一度抱きしめた。


「ユズさんを好きになったから、好きなんだよ。理由は僕にもわからないから」

「お、おい……なんでそんながっちりホールドするんだ……」

「ユズさんに伝われ! ぼ、僕の愛!」

「……はいはい。わかったよ」

「ユズさん、僕、頑張るからね。絶対にユズさんの助けになれるように頑張る」

「…………頑張らなくていい」


 声のトーンが明らかに変わった。どんな表情をしているのか、さっぱり予想がつかない。あまりにも、なんだか苦痛を我慢しているような響きが、あったから。


「今でも充分だ。おまえは、頑張るな」

「どうして? 僕も操者そうしゃなんだよね?」

「……病気が悪化するだろ」


 なにか隠したような、躊躇ためらいが混じったものを感じた。なにか悩みでもあるのだろうか。

 確かに、操者として戦うとなると、この身体には負担は大きいだろう。でも、それでも、好きな女性を守りたいを思うことは、いけないことなのだろうか?

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