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あのあと、よんごうさんはいちごうが連れて帰ったらしい。やっぱり優しい、と感じていると、連絡をとっているお兄ちゃんはなんだか苦い顔をしていた。
登校前の朝食を食べながら、お兄ちゃんは器用にスマートホンを片手で使っている。私も持っているけど、お兄ちゃんのと違って色々制限がついているから、ゲームもできない。
「一号……まさかまたお姫様抱っこで連れて帰ったりしてないよな……」
そんなことをお兄ちゃんが液晶画面とにらめっこをしながら、ぼやいていた。お姫様だっこ?
「あんまりつつくと、四号のおにいさん、泣くかもだしな……」
「そうなの?」
「まあな。やったことがあれだし、一号に土下座して謝ってるかもしれないぞ」
「くっついてたこと?」
「そうそう。いや、でも……あんだけガチガチになってたら、部屋に投げられて置いてかれたのかもだけど……やりそう、一号なら」
「よんごうさん、ごごうさんのこと苦手だよね」
お兄ちゃんも苦手みたいだけど、そこは言わないでおく。いいお姉さんなんだけど、やっぱり男の人は苦手な女の人がいるのかもしれない。意地悪をする男の子が苦手な、自分のように。
よんごうさんも、お兄ちゃんも、意地悪なこともしないし、からかってくることもない。どっちも優しい。
いちごうはかっこいいし、ごごうさんは頼れるお姉さんという感じだけど、みんなは違うのかな。
トーストを頬張りながら、お兄ちゃんを見る。
「ねえねえ」
「どした?」
「仲間になって、良かったね」
「…………」
驚いたようにお兄ちゃんが目を丸くしている。そして、笑ってくれた。
「そうだな。クセは強い人もいるけど、いい仲間だよな」
「くせ?」
「一号は最初からあんな感じだったしさ、よく俺たちを仲間にしたなって今なら思う」
「うん! だってよんごうさんも、ごごうさんも、年上なんだよ! お兄ちゃんも私も、まだこどもなのにね」
「ほんとな。でも、年齢は関係ないって一号は言ってくれたし、それ、一年経っても変わってなくてさ、安心した」
「ふふ。お兄ちゃんは、念願のヒーローになったしね」
「うーん……戦隊ものにしては、地味だけどな。でも、特撮より、かっこいいとは思う」
自慢げに言うので、また笑ってしまう。この一年、大変だったけど、楽しかった。これからも、それが続くと思うと、学校も頑張って行ける。
ジャムをたっぷり塗ったパンはとても美味しい。この、しん、とした室内ではお兄ちゃんと二人だけみたいで、前はそれでも平気だった。でも今は、ちがう。
よそよそしい仕草をするお兄ちゃんはいなくなった。いちごうに出会ってから、戦隊ヒーローを一緒に観ていた時の、きらきらした目のお兄ちゃんになった。一緒に帰っていた、下校していたあの時、虚獣に驚いて動けなくなって、泣き出しそうだった自分の前にいちごうが現れたあの日のことを、忘れることはない。それは一生。
早くみんなに会いたいな。虚獣を全部倒しても、気軽にみんなに会いたい。




