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蓮花祝の大権現   作者: 終わり
39/51

三十九話 常白変事回峰行 1


 (ねえ、機嫌、治った?)


 (またまた。ね、三階層に先に行っちゃったのは謝るから。それに、ここなら龍とはたくさん戦えるでしょ?)


 (それに、ここ、綺麗でしょ?探したんだよ。ここの中でも一番綺麗に見えるとこ。どう?)


 (これも、用意したから。今日は一緒に楽しもう?)


 

…………






 


  いやー。この三階層。綺麗でいいなあ。周りは雪で全面覆われている。わたしたち以外には人もいないから、他の人の足跡すらない。全部新雪だ。


  年中こうなのかな?今、外も冬だけど、夏に来たら、爽快感すごいだろうな。



 


 


  うん?あんなところに人が。かなり小さい。小学生……?


 近寄ってみると、8歳?くらい?だろうか……淡い桃色の髪をした子。薄手のブラウスの上に薄目のアウターを羽織っていて、下はチェック柄のプリーツスカート。マジックテープタイプの子供用のシューズを履いていて、全身全て桃色で揃えている。こんなとこに居ていい子じゃないでしょ。迷い込むにも難しい場所だし、まさか誘拐?


 どうしたの、こんなところで。迷子?


 その少女は全く反応を見せず、ただぼーっとどこでもない場所を見つめている。あれ?もしもし?


 もしかして、低体温症とかか?急いで治療しないと……


「おーい祝子、ごめん、それうちの子!」


 向こうから人が走り寄ってくる。ヒトカ。三階層に居たんだな。手になにか妙な赤い杖を持っている。

 

 目の前の少女は、ヒトカが目に入ると彼女のもとにすぐに駆け寄り、後ろに隠れてしまった。ヒトカの知り合いかな。ちょっと不用心な気もするけど……


 そう思っていたわたしの気持ちはすぐに切り替わった。それより気になることが発生したからだ。


 ヒトカの周りに、それと全く同じ見た目の少女がさらにもう二人いる。何?これ。


 ヒトカは、それらの少女を引き連れて、わたしの近くまで走り寄ってきた。

 

「ありがとー祝子。いつの間にかいなくなっててさあ。探してたんだよね。」


 それより、この子らは、一体?


「ああ、この子たちが私のパーティメンバー。実際はもう一人いるんだけどね。ほら三人とも、挨拶して。」


「は、はてなです……」

 

「ぽぷりだよ〜。よろしゅう。」


「……のいず」


 ぱ、パーティメンバーぁ?こんなにちっちゃいよ。ここにいる魔物が倒せるの?


「一対一だと厳しいね。でも、この子たち、全員魔法使えるから。それに、もう十二だよ?」


 え、十二!?わたしと同い年。いや、十二でもやばいでしょ。


 それに、薄いブラウスに薄手のアウター。すごい寒そうな格好してる。ちゃんと見てあげてるの?

 

「あー、……この子たちは大丈夫なの。体質的に寒さには強いの。雪国出身でさ。ちゃんと、装備はみんなつけてるよ。ほら、アイゼン。」


 のいずの足を指差して言う。足になんかついてるな。アイゼンって確か、ピッケルみたいにとんがってるスパイクが足についてて、凍ったようなところでも滑らず歩けるってやつか。


「それに、祝子も十二でしょ。ほらのいず。この子、でかいけど同い年なのよ。仲良くしてよ。前出て前。」

 

 確かにわたしは170あるけど……でかい、って。


 ヒトカにそう言われると、のいずはゆっくりとヒトカの後ろから出てきて言う。


「フッ、こんなのが到達できるなんて、三階層もレベルが落ちたものね」


 何だこいつ。口悪いなー。


 でもヒトカ、こんなちっちゃい子とダンジョン潜ってるんだから、目ぇ離しちゃだめだよ。


 それにしてもこの三人、ほんとに似てるね。


「そうだよ。見た目だけじゃあないからね。ぽぷり、やってあげて!」

 

「りょ。」


 ?

 

「フッ。こんなことも分からないなんて、才能が無いんじゃないかしら?」


「どう、似てる〜?」


 うわ!こっちがのいずだったっけ?どっちが…


 まあいいや。可愛いし。

 

 誇らしげに顔を見せてくるから、ほっぺたをつまむ。柔らかーい。顔をぐにぐにとほっぺたを触っていると、ぽぷりが何か喋り出した。

 

「祝子〜、くじら、どこいると思う?」


 くじら?ああ、ヒトカがいってた、もう一人のメンバー?


「そう〜。いつの間にか、二人ともいなくなってて……急いで飛び出してきたんだ〜。」


 ヒトカ、探してたのはのいず一人じゃないんだ。ヒトカ、子供を信頼するのはいいけど、さすがに早く助けにいった方がいいと思うよ。さっさと行きな。


「え?何?」

 

 ちょっと遠かったかな。ヒトカに近づいてもう一度言おうと思うと、その後すぐ横殴りに雪が降り始める。一瞬にして全く視界が効かなくなった。


「みんな、落ち着いて!離れずに一箇所に集まるのよ!ほら!そこの!」


 痛いって。パニックを起こして暴れるのいずの背中をつかみ持ち上げ、はてなとぽぷりを横向きに抱っこする。


 そうしてから避難場所を探そうと思うと、さらにもう何人か周りに気配を感じる。あれ?取り忘れたかな……と思ってその二人も抱え上げる。


 そうこうしているうちに吹雪はやんで、周囲にはわたしたちがいるだけとなった。


「ひ、ひとかは?いないの?」


 ヒトカが居ない。子供じゃないんだから、自分から離れることは無いだろうし。何かあったのか?


 子供達を下ろすと、目の前で、のいずたちが見つめあっている。何?お互い珍しいものでも無いだろうに。ほらのいず、……あれ?のいずはこっちだったっけ。


 これがのいず、これが………!?





 

 

 ………!!五人に増えている……!!


 ちょっと、ごめん。各自名前を言ってくれる?

 

「ふん、改めて確認をとらないと、まだわたしたちが分からないのかしら?のいずよ。」


 うっせーな、わかんねーよ。そっくりじゃんお前ら。

 こいつがのいず。


「改めてよろしく〜。ぽぷりだよ〜。」


 はい。物分かりが良くてよろしい。ぽぷりがこいつ。

 それで……


「は、はてなです……」


 はてな。で……

 

「初めまして!くじらです!」


 吹雪に乗じて現れた、もう一人の少女はくじらと名乗った。のいずたちに確認しても、正しく自分たちのパーティメンバーだと言う。信用していいだろう。


 それでこっちが……


「初めまして!くじらです!」


 はあもう。何なんだ。





 

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