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蓮花祝の大権現   作者: 終わり
30/51

三十話 蜘蛛の異界




 グラント、そこの曲がり角。この感じだと、スアーヴェかな。


 「おー。群れ?スアーヴェなら狩ってもいいでしょ。」


 五匹かな。まあいけるよ。


 ちなみに、スアーヴェとは、鹿型の魔物のこと。二階層では頻出し、それなりに戦闘能力は高いがそれほどでもなく、わたしとグラントなら十分撃破できる。


 《 ハフリ ユメ のレベルアップを確認しました。》

 

ハフリ ユメ

職業【神巫】

Lv:19→20

HP140/140→145

MP140/140 →145

筋力:150 →155

魔力:140 →145

速度:140 →145

防御:140 →145

抵抗:140 →145


【スキル】

:【剣術】Lv.6 ▼【経験値アップ】Lv.1【地図作成】Lv.1【木工】Lv.1【魔眼】Lv.3

 

 一気に五匹も狩れた。出現頻度もそうだが、二階層の魔物は何より一体一体の経験値量が比較にならないな。


 「しかし、それは便利だねえ。何キロまで見れるんだったか。一階の時もあったら、どんなに便利だったか。」


 早速、この苦労して仕上げた探知魔道具を使っている。シロネの鍛冶屋で発売中でございます。

 

 これね。五十キロ先の魔物まで、位置、魔物の種類まで正確にわかるの。


 最初は、魔物の反応を見て、オクノウサギなら逃げる、というのをやっていたんだけど。この魔道具、魔力の多寡や特性によって反応が違うから。やっているうちに、この計器のジャギーを見て、知ってる魔物ならなんの魔物かがわかるようになったんだ。

 

 これがあるとないとでは大違いだ。もしかしたら、【感知】よりこっちの方がいいかもしれない。ここまでの間、完全に二階層に行ってなかったわけじゃなくて。パトラと一緒に行ったのも含んで何回か行っていたんだけど、そこのパーティ、感知スキルの質がパーティによって結構違ってたんだよね。


 強いか弱いかくらいはみんなわかるんだけど、種類を特定できるような人は少なくて、ひどいのだと、居るかどうかしかわからない人とかもいた。それなら断然こっちの方がいい。


 ああ、そう。それで、魔道具完成とほとんど同じにミノタウロスが復活したから、グラントが倒して、二階に進めるようになったんだ。この魔道具で、感知系の役割の人間がいなくても探索できるようになったからね。

 

 「これがスアーヴェか。アクトゥスとかいう熊が最大級の魔物なんだっけ?それは会った?強い?」


 うーん。アクトゥスも、まあ三から四メートルだし、そこまでかなー。この鹿と大差はないと思うよ。


 あれを見ちゃうとね。あれはすごかった。サイズも桁違いだし、攻撃方法も桁違い。物理攻撃しかしないここの野生動物とは格が違うよ。やっぱ時代は龍だよ、龍!


 「うー。祝子、一人で探索に行っちゃうんだから。龍なんているんだったら、わたしもやりたかった!」


 あ、あれは偶然だって。たまたまあったんだから、しょうがないでしょ?

 

 「じゃあ、龍がいたところに行こうよ。」


 もう倒しちゃったから、いないと思うよ。

  

 グラントは話を聞かず、無理やり龍のいた場所に向かった。


 先日の大穴はまだ塞がれていない。まるで土砂崩れが起きたみたいだ。地上から見ると、洞窟の内部は全く透見できず、単なる黒のように見える。底は少しだけ照らされてるが、中にはなにも見えない。溶岩ももう無くなったのだろうか。以前は溶岩の光で多少は見えたものだが……


 「わかんないでしょ?降りてみよう!」


 ちょ、ちょっと。やめようよ。この間落ちた時、戻るの大変だったんだから。


 完全にムキになってるな。あんまり無理しないでよ。勝手に行ったのは悪かったから。そうだ!強い魔物、他で探してあげるよ。これ、魔力量に反応するんだ。えー。半径十キロ内なら……これがアクトゥスか。こいつがいるとこに行くから。ほら、ついてきて?


 なんとか誤魔化せたようだ。グラントは後ろから着いてくる。





 

 少し歩くと、山道のど真ん中に、黒い熊が陣取っているのが見える。見間違えようもない、アクトゥスだ。


 「これが、二階層最強だっけ?祝子、てぇ出さないでよ。」


 はいはい。


 グラントは、大槌を片手に持って、アクトゥスの眼前に立つ。構えながら無造作に近づくので、アクトゥスも多少怯んでいるようだが、気怖じせず、爪で引っ掻いてくる。


 攻撃に合わせるように大槌を振り、その爪と大槌が衝突すると、当然のように爪が当たり負けし、砕けて弾ける。


 アクトゥスは悲鳴をあげて後ずさるが、その隙を見て大槌が頭部に至る。頭蓋骨が砕かれ、音を立てて倒れた。



 

 「楽勝楽勝!全然苦戦しない!もっと強いのちょうだい!」


 やっぱりこいつ強いんだよなあ。わたしたち、この階層にしては強くなりすぎたのかもしれん。もっと強いの?……うーん、待って、待って。


 じゃあ、感じを変えたということで、これ!


 キリセイト。サソリの魔物だけど、二メートル以上の巨体。パワーからアクトゥスが最強と評されているけど、甲殻の硬度と攻撃力で言えばアクトゥスにも勝るし、毒もある。さーどうだ。


 森林地帯とは少し遠いが、荒野となっている地域に行く。その地帯で計器を確認すると、居た!

  

 キリセイトは、わたしたちを見かけるなりすぐさま這い寄ってくる。わたしが少々後ろに下がったため、グラントに向け、尾の針を刺そうとした。


 あまりグラントが避けようとしないからひやっとしたが、グラントは上手く針を自身の角に巻き込んで、梃子の要領で破砕した。


 折れるんかい。魔物に固さで勝つな。


 そのまま突っ込み、頭部を大槌で破砕する。


 ピクピクと動くが、地面に甲殻ごと多少減り込んでしまい、動こうにももう動けないらしい。


 「もう!全然アクトゥスより手応えないよ!弱すぎ!このダンジョン、弱いのしかいないの!?」


 というより、そっちが強いんだよ。


 三階層に行ければいいんだけど、今のところ手がかりはない。知り合いからも話は聞かないんだよな。


 「その、件のウサギでも倒してみる?一回やられそうになったんでしょ?」


 オクノウサギ、かあ。この期に及べば、それもありかなあ。


 と。そういえば、わたしはここにはキリセイトを探しに来ただけで、別に意図して来たわけじゃないが、ここの近くに結構大きい反応があるな。知らない反応だ。わたしが会ったことないのかなあ。


 ここに洞窟がある。中には……


 のっそりと、巨大な蜘蛛が一匹出てきた。

 

 蜘蛛か!確か、プルモナタだったか?


 蜘蛛も一匹でなく数匹いるようだから、わたしも一緒に狩るよ。確か、こいつは……


 「うん。次はどうかなー。」


 グラントは早速蜘蛛の洞窟に入ってしまう。一匹目に殴りかかると、やはり抵抗なく粉砕していく。まあ、一匹しかいないわけではない。群隊での勝負だから……


 二匹目以降を討伐しようとして中をよくみると、内部には残りの蜘蛛が数匹と小蜘蛛が大量にいる。この小蜘蛛を討伐しないと、親蜘蛛には接触できないのか。


 毒があるというのはわたしは調べて知っているが、グラントには言えなかった。急に行っちゃうんだもん。まあ、この様子だとやはり楽勝だろう。


 と、思ったところでグラントが足をもつらせて転ぶ。どうした。転ぶような障害物でもあったか?


 周囲にある蜘蛛を蹴散らしつつ、グラントの様子を伺うと、グラントの足には糸が巻き付いていた。こいつがそんな隙を晒すとは思えんのだがな……




 と、ここでふと周囲を見渡して気がつく。ああ、そうだった。小蜘蛛は切ると、体内で糸の原料となる粘着物質が飛び散り、足を取られるという情報があった。あたりには、まるで罠か何かのように蜘蛛の糸が張り巡らされている。これに足を取られたのか。


 グラントの足を処置しながら言う。小蜘蛛が死ぬ時、周囲に糸を撒き散らしている。迂闊に切ると痛い目にあうぞ


 ここからは、いつどこで小蜘蛛を倒すか、連携しよう。

 

 「ごめん。オッケー。」


 目の前には三匹の小蜘蛛。一匹は飛んできてるけど、それ以外の二匹は倒さざるを得まい。


 こっちで二匹倒すから、こっちに進んで行って、こっちの蜘蛛を倒そう!


 「了解!」


 わたしが二匹を倒し、一匹を避けつつ進む。


 その倒した小蜘蛛は、二条の糸を張るが、注意しているグラントはなんとか避ける。


 その後も、親蜘蛛の前に数匹立ちはだかるが、それはもう関係ない。


 「小蜘蛛、四匹!」


 うん、やっちゃってー。


 一振りで全ての小蜘蛛を蹴散らし、二振り目で、親蜘蛛の頭を叩き潰した。


《 ハフリ ユメ のレベルアップを確認しました。》

 

 

ハフリ ユメ

職業【神巫】

Lv:20→22

HP145/145→155

MP145/145 →155

筋力:155 →165

魔力:145 →155

速度:145 →155

防御:145 →155

抵抗:145 →155


【スキル】

:【剣術】Lv.6 ▼【経験値アップ】Lv.1【地図作成】Lv.1【木工】Lv.1【魔眼】Lv.3




 「疲れたー!でも、楽しかった。またやろうね!」


 完全に戦闘狂だ。そうだね。また。次は龍が復活してるといいな。

 

 「うん。……ってあれ!?やばい。もう一時間前だ。ちょっとごめん。それ、祝子のものにしていいから、はぎ取っといて!これ、ちょっと借りるね?」


 ああ、感知魔道具。いいよ。これあると地図が完全に正確に読めるようになるから、ナビゲーションとしても優秀なんだよ。今度、ぜひ買ってくれ。

 

 にしても、ダブルワークって大変だよな。一階だったらいい狩場まで近いから大した障害にもならないけど、二階になるとねえ……


 三階層に行く時が来たら、グラントと潜ることも珍しくなるのかな……


 ま、その時はその時だ。全力でダッシュすれば、大丈夫かな。


 と、考え事をしていると、爆発音が聞こえてくる。こんなに聞こえてくるなんて、治安が悪い……





 

 爆発音!?まさか……


 土龍の時と同じだ。もしかして……


 すぐに周囲を見渡すが、魔物はどこにも見当たらない。感知魔道具を、って、あ!グラントが借りちゃったから、もう探知機がないんだ。しょうがない。


 まあ、グラントももう行ってしまったし、また一緒に探しに来よう。


 

 


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