第31章 ― 闇に響く残響
ケルベロスは、孤独な隕石の上に座っていた。
永遠の静寂の中を漂いながら。
両手を組み、
その姿勢は王のものだった――
力の頂点にある王ではなく、
疑問を抱く王の姿。
彼の視線は虚無を彷徨い、
ひとつの問いが内側で反響していた。
――堕落者たちは、どこまで行けるのか……?
その時、彼は感じた。
目で見たわけではない。
常識的な感覚でもない。
宇宙全体が、暗くなり始めた。
銀河は輝きを失い、
星座は色を失い、
かつて静寂だった空間は、
重さを帯びたかのように感じられた。
宇宙のシステムに、何かが狂っていた。
ケルベロスは目を閉じ、重く息を吐いた。
「どうやら……」
彼は低く呟いた。
「クララ・コズミアと戦った時……
全能性の亀裂が、予想以上のズレを引き起こしたようだ。」
彼は立ち上がった。
その瞬間、
ただ暗かっただけの銀河が歪み始めた。
紫色に変色し、
ひび割れ、
不安定なオーラを脈打たせる。
空間の織物を、
生きた傷跡のような亀裂が貫いていた。
宇宙は叫ばなかった。
――病んでいた。
存在が増殖していく。
オーラが膨れ上がる。
何かが、学んでいた。
……進化していた。
「どうやら……」
ケルベロスは重々しく言った。
「堕落者たちも、進化したようだ。」
彼は虚無の中へ一歩踏み出した。
そして、見た。
死すべき存在が住む惑星。
脆く、
青く、
生きている。
だが――汚染されていた。
呪われた堕落者が、そこにいた。
強大で、
隠れ、
忍耐強く。
ケルベロスは、その世界の方向へと向き直った。
「次の目的地は……」
彼は断言した。
「地球だ。」
「今こそ、その堕落者と
真正面から向き合う時だ。」
一瞬、彼は立ち止まった。
肩越しに振り返る。
何か……
あるいは、誰かが……
見ているのを感じた。
闇の中で、彼の目が光った。
そして――
すべてが黒に沈んだ。
星もなく、
音もなく、
形もない。
ただ、
絶対的な闇の中で、
ケルベロスの低い声だけが響いた。
「アシナ……聞こえるか?」
虚無は沈黙で応えた。
だが、
時間の彼方のどこかで――
何かが、目を覚ました。
第二シーズンへ続く




