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第23章 ― 殲滅のコンパス

女王は転移した。

拳を固めたままケルベロスの背後に出現し、

意志は純粋な暴力へと凝縮されていた。

一撃は背中へ――速く、致命的。


ケルベロスは、わずかに身体を回した。

腕を上げ、

彼女の拳を――片手で掴んだ。


衝突は爆発的な烈風を生んだ。

空気は引き裂かれ、柱は粉砕され、

気絶していた侍女たちの身体は枯葉のように吹き飛ばされた。

王国は呻き、構造物は崩れ、

地面は灼熱の亀裂を開いた。


ケルベロスはクララの目を見据えた。


「……俺は生き物ではない、と言うな」

重力崩壊した物質のように重い声で、彼は言った。

「だが、お前は腐敗体だ。悪しき根から生まれた存在」


「知識はあるだろう。生命を模倣することもできる」

「だが、生命ではない」

「お前は不均衡を生むために存在している」


クララは、歪んだ毒のような笑みで遮った。


「……そして、あなたは私たちを消すために存在している」


二人の瞳が輝いた。

宇宙エネルギーが拳に集束し、

超新星を迎える寸前の恒星のように膨れ上がる。


次の衝突は壊滅的だった。

爆発が広間を薙ぎ払い、

瓦礫を数キロ先まで吹き飛ばし、

王国そのものを消し去った。


塵が晴れたとき――


ケルベロスとクララは、まだ立っていた。

無傷のまま。


ケルベロスは周囲を見渡し、

瓦礫と、意識を失った侍女たちを見た。


「……それでも」

彼は言った。

「お前は、自分のために命を捧げた者たちを気にも留めない」


クララは冷たく笑った。


「だから何?」

「ただの操り人形よ」

「私はこの星に軍を作りに来ただけ」


二人は消えた。


次の瞬間、

空中で足首同士が激突した。


衝撃は下の地面に深いクレーターを穿ち、

隕石が地に叩きつけられたかのようだった。


クララは顔を上げ、

声は悪魔的な響きを帯びる。


「分かっているわ」

「あなたは全力を出していない、ケルベロス」

「見せなさい。あなたの力を」


ケルベロスは笑った。

間違った笑み。


「……フフ……望むなら」


彼女が先に踏み込んだ。

一直線、粗暴、技のない――純粋な力。


ケルベロスは即座に応じた。

虚空に足を据え、

まるで確かな地面に立つかのように。


膝が沈み、

身体全体が重く、決断的に落ちる。

古代から続く正確な拍子――コンパス。


衝突。


接触の瞬間、

彼は胴を回し、

力の一部を逸らし、

残りをそのまま叩き返した。

間もなく、退かずに。


クララが再び打ち込む。

速く、獣のように。


ケルベロスは短く、乾いた一歩を踏み出す。

肩が弧を描き、

腕が刃のように開閉する。

完璧なリズムで、

彼の腕が彼女の一撃を正面から受け止めた。


ドオオオム。


回避ではない。

力に対する、リズム。


彼女がまた来る。


ケルベロスは拍子を変えた。

最小の後退、即座の前進。

重心が足から足へ移り、

身体が回転し、

斜めの動きで受け止める。


舞のように優雅で、

戦技のように破壊的。


衝突。

また。

さらに。


クララの攻撃は、

常に動きの中にあるケルベロスにぶつかった。


彼は速いのではない。

同期しているのだ。


攻撃が生まれる瞬間に、

彼は踊る。


前進。

回転。

衝撃。


戦場全体が、

彼のリズムに従い始めた。


ケルベロスは、ただ戦っているのではない。

戦いの拍子を刻んでいた。


女王の攻撃は、常に一拍遅れ、

次の一手をすでに決めた身体へと衝突する。


クララは叫んだ。

苛立ちと怒りが爆発する。


「アアアアア! くらえええ!」


脚を最大まで振り上げ、

惑星が恒星に衝突するかのような力で振り下ろす。


ケルベロスは、最後の動きを選んだ。


腕を背中で交差させ、

手を揃える。


そして――

極限の垂直蹴りを放つ。


一撃は、

クララの顎を正確に捉えた。


衝撃は女王を星外へと吹き飛ばし、

大気を裂き、

宇宙の壁を破り、

弾丸のように虚空へ投げ出した。


静寂が訪れた。


ケルベロスは動かない。

身体は緩み、

裂けた空を見つめていた。


戦いは――

まだ、終わっていなかった。


次の章へ続く。

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