第11章 ― 光の下の女王
ケルベロスと女王は動かず、今にも衝突しそうな二つの天体のように互いを見つめ合っていた。沈黙はあまりにも濃密で、重ささえ感じられるほどだった。
その時、何の前触れもなく、白い光が女王の身体を包み込み、生きたオーロラのように広がっていった。
宙に浮かんでいたケルベロスは、ゆっくりと降下し、静かに地面へと足をつけた。
それは、避けられぬ宇宙の現象を見守る者のような、絶対的な冷静さだった。
腹ばいのまま倒れていたライザ――まるで終わりを受け入れる犬のように――は、片目を開き、次にもう片方を開いた。
広間を飲み込む光を見て、思わず唾を飲み込み、震えながらゆっくりと立ち上がる。
光は膨張した。
さらに膨張した。
耐え難いほどに。
ライザは両手で目を覆った。
ケルベロスは瞬きすらしなかった。
その光でさえ、彼に挑むことはできなかった。
数分後、輝きは収縮を始めた。
まるで死にゆく星のように……そして、城全体を照らす最後の閃光とともに弾けた。
光が消え去った時、女王はもはや巨大な獣ではなかった。
そこに立っていたのは、凄絶な美を持つ一人の女。
部族の装束に身を包み、古代の紋様が刻まれた肌、そして安っぽい誘惑ではなく、支配的な存在感を放つ肉体。
彼女は顔を上げ、どんな凡人でも惑わすであろう微笑みを浮かべた。
――誰であっても。
ケルベロス以外は。
彼は一切動かず、真正面からその瞳を見据えていた。
まるで彼女の魂の欠片一つ一つを読み取るかのように。
艶やかな笑みが、わずかに揺らいだ。
女王の頬が赤らんだ――それは羞恥ではなく、理解の色だった。
彼女は視線を逸らし、誇らしげに微笑むと、両腕を背に回し、威厳ある歩みで玉座へと向かった。
そして、腰を下ろした。
「我が王国へようこそ、名もなき生ある者よ」
女王は、力強い声でそう告げた。
ケルベロスは跪かない。
笑いもしない。
ただ、言った。
「伝説のプリモーディアルたちに、何が起きたのかを知りたい」
女王は片眉を上げ、脚を組んだ。
「我らの祖先を?」
「なぜ、お前のような存在が、それに興味をつ?」
「好奇心だ」
ケルベロスは簡潔に答えた。
だが、彼の内心では冷たい思考が反響していた。
あの戦いの後、お前たちはどこへ消えた……
そして、なぜお前たち抜きで、この地はここまで進化したのか。
女王はため息をつき、顎に手を添えた。
「いいでしょう。話してあげるわ。ただし一度だけ」
「長い話になる……そして、伝説の戦いについては一切語らない」
ケルベロスは頷いた。
「公平だ」
続ける前に、女王の視線がライザへと向けられた。
柱の陰で、建築物の一部になろうとしている彼女へ。
「なぜライザが、お前と一緒にいる?」
「彼女が、お前をここへ連れてきたのか?」
女王の視線は刃のようにライザを射抜いた。
ライザは即座に、さらに身を縮める。
ケルベロスは穏やかに答えた。
「そうだ。彼女が案内した」
「良い獣人だ……少し無知なだけでな。最初は、少々無礼だった」
女王は苛立たしげに口から煙を吐いた。
「やはり……」
「詫びよう。あの子は昔から、口の扱いが下手でね。歯の扱いも」
ケルベロスは一瞬だけ目を閉じた。
他者の混沌を切り捨てる者のように。
「構わない。本題に入ろう」
女王は玉座に座り直した。
その眼差しは重く、古く、幾つもの時代を背負っていた。
「ならば聞きなさい、ケルベロス……」
「21のプリモーディアルの伝説に、何が起きたのかを」
城全体が、その言葉に耳を傾けるかのように静まり返った。
―――
次の章へ続く。




