入学式に行ったら名簿に自分の名前がなかった話。
初めまして。じゅんと申します。突然ですが皆さんは存在感、ある方ですか?僕はド陰キャなのでクラスの端っこですみっコぐらししてるんですが、このお話は存在感がとてつもなく薄い主人公が魔法学校で頂点を目指す物語です。ド陽キャの人も、ド陰キャの人も、その中間の人も、ぜひご賞味あれ。
ここは、魔法が当たり前とされる世界。魔法学校も多数存在するこの世界の中でも、群を抜いて優秀な生徒たちが集まる超名門校、聖アポロン魔法学院。今年も厳しい試験を突破した優秀な生徒たちが入学してくるのであった。これは、そんな優等生たちと共に入学してきたひとりの男の物語である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー無い。無いのだ。何度確認しても、入学者名簿に自分の名前が。存在感がとてつもなく薄いのは昔からだ。でもそれがこんなところにまで影響しているなんて。いくら存在感がないからって、試験に合格した優秀な生徒にこの仕打ちはないだろう。もういい。こうなったら校長に直接話をつけてやる。
「たのもーっ」
というわけで校長室に殴り込みに来た。
「ーーー。」
クソ。シカトかよ。間違いなく存在感のせいだ。どれだけ扉を叩いても全く出てくる気配がない。どうしたものか。もうこうなったら普通に入学式に出席するしかない。どうせ誰にも気づかれないんだから。
昔から、常にこんな感じだった。出産の時には俺が母さんのお腹の中から出てきたことに誰も気づかなかったらしいし、レストランで食事をする時にはベルを何度叩いてもウェイトレスが来ないし、この間の入学試験の時にだって面接官が俺の面接を忘れて帰ってしまった。あれほど困ったことはない。しかし、何をどうしたらこんなにも存在感が薄くなるのか。まあいい。なにせもう慣れてしまったのだから。というわけで、とりあえず俺は入学式の会場である大ホールに向かった。
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「入学No.1200番 ワル ビレール 以下同文だ。おめでとう。」
最後の一人が入学証書をもらう。
「ーーー。」
やっぱり俺は忘れられてんのかよ。畜生。ってか、1200人分渡すとか、長すぎんだよ。もう入学証書とかいいから、早く終わらせてくれ。そう思っていた時、1人の男子が手を挙げた。
「すみません。1人分足りないと思うのですが。」
おいおい。もしかしてその足りない1人って、、
「なんだと。それはどういう事だ。」
壇上にいる校長が聞き返す。
「後ろの方にいるあの子です。」
そう言ってその男子は俺の方を指さした。
まじか。こいつ、遠くに、しかも後ろにいる俺の事を認識できているというのか。こんなことは初めてだ。なんだか、嬉しいような悔しいような。そんなことを思っていると、校長が唖然とした様子で話し出した。
「なんと。この私が入学証書を渡すのを忘れていたとは。そこの者。名はなんという。」
なんと。じゃねえよ。忘れておいて、謝罪のひとつもないのかよ。まあいい。目立つのはあまり好きじゃないが、名前を言わなきゃ入学できないならたまには目立ってもいいだろう。
「リアム アルフォードです。」
「ーーー。」
返答がない。
「すまん。何か言ったか?」
また存在感消えてんのかよクソが!
「リアム アルフォードです!!!」
こんだけ声張っとけばさすがに聞こえるだろう。
「ーーー。すまん。何か言ったか?」
このクソジジイ!どんだけ声張ればいいんだよ!
「リアム アルフォードです!!!!!!!」
そんな訳で、俺の入学式は無事?終わったのであった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。初投稿で至らない部分も多かったと思いますが、今後ともよろしくお願いします。