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【第1夜④ ~「石」たちの歓迎~】

【前回より】

私は凱に言われたように、その石を大岩に近づける。するとさっきまで割れ目一つなかった大岩が、その中央から縦に裂け始め、一直線に眩い真っ赤な光が溢れる。そして岩の両側が横にスライドし、そこに地下への階段が姿を現した。



「何これ?入り口が…。」


「よく冒険ものの映画であるパターンだな。莉羽。石、しまっていいよ。」


「ほんとに…。ベタな感じだね。了解。」私は石をしまって、凱に続いてその階段を下りていく。


 すると、そこには光を一切許さない暗黒の世界が広がっていた。


「何も見えなくて怖いよ。足踏み外しそう…。」私がぼそぼそ言うと、


「魔法とやらを使えばいいのでは?」マグヌスが冷静に言う。


「あっ。そうだ…。まだ慣れてなくて…。ありがとう、隊長。」シュバリエでスムーズに魔法を使う考えに至らず、凱と顔を見合わせて笑う。すると凱が急に真顔になって、

 

「立ち止まって。少し静かに…。」凱の言う通り、私たちは歩みを止め、黙り込む。今度は静寂が私たちを襲う。何も見えない、何も聞こえないこの空間に恐怖を感じ始めたころ、突然あたり一面、岩に埋め込まれた石たちの光で、一斉に明るく照らし出されれる。


「何これ?」石がそれぞれ様々な色を放ち、リズムを刻んでいるように光るその光景に、私が困惑していると、


「どうやら石たちに歓迎されているみたいだな。石が歌っているようだ。」凱は辺りを見回しながら言う。


 マグヌスもその光景に圧倒され声を発する事を忘れているようだった。


「本当にきれい…。採掘場も昔はこんなかんじだったのかな…。」私が独り言のように呟くと、


「きっとそうだろうな…。採掘場だけじゃない…。人間が入りこんだことで、自然も環境も全て変わってしまったって所はたくさんあるだろうな…。」石たちの光に照らされた凱の表情は、心なしか暗い。


「人間が住みやすいように自然を破壊したり、食料を得るために乱獲したり、欲を満たすために「石」を盗掘したり…、おそらくここの「石」も盗掘されたものはたくさんあるんだろうが…。まあ、これだけでも石が残っていたなんて…本当に良かった。この国の石は、全て奴らに盗られたと思っていたからな…。」マグヌスは安堵の表情を浮かべる。


「本当によかったね。こんなにもきれいな石が敵の悪事に使われるなんて、許せない。…それにしても…、なんで大岩の動かし方とか…、分かったの?凱?」私は凱のあまりにスムーズな指示に違和感すら覚えていた。


「うっすらだけど…、記憶が少し残ってたみたいだ。ここに来たことがあるんだと思う。それで多分この先に…。」と凱が言いかけたところで、


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