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【衝撃の事実 ~神遣士~】

【前回より】

「お母さんが神遣士の記憶を取り戻してからしばらくして、この家の中で不可思議な事が何回か起きたの。お母さんは、あなた達を守るため、家と凱の家の周りを囲むように結界を張ったんだけど、それから数年後にお母さんの結界の周りに、漆黒の結界が張られ始めたの。その結界の力によってお母さんの結界が弱くなったり、破られたりを繰り返していて…。それは必ず単身赴任のお父さんが帰ってくるときに起きるの。

 それに関係あるかは分からないけど…、それと同じ時期から莉奈の体調に変化が表れ始めたの。莉奈の周りに怪しい気配を何度も感じて、その度にその呪縛を取り払おうとしていたのだけど、あまりに強力で、お母さんの力でも解けないの。だからお母さんはお父さんの監視、凱は莉奈の護衛と監視役として近くにいてもらっているの…。」私は母の衝撃的な告白を聞いて、顔から血の気が引くのを感じる。


「まさか…、お父さんがそんなこと…。なんのために?莉奈に何をしようとしているの?」


「全く分からないの。でも、莉奈が体調を崩し始めたのは、ちょうどお母さんの結界が弱まってから…。お母さんの予想だと、お父さんによる洗脳があの子の体を蝕んでいると思うの。ただ、今回の莉奈の病状は、今までと比べてもかなり悪い状態だった…。それなのに、お父さんが仕事に戻ったこと、莉奈が消えたことは不可解なんだけれど…。


あとね、お父さんは、お母さんが回生の前まで神遣士だったというところまでは気づいていないと思うの。でも、何か、勘づいてはいる。だから、お母さんはこれ以上力を使うことは危ないと思っているわ。」


「そうですね、莉月さんはもう動かないで大丈夫です。先日のメルゼブルクで、莉羽と僕の力の融合を確認しているでしょうから、莉羽が今世の神遣士であると確信しているはずです。莉月さんは、最後の最後まで力を隠していてください。」


 今まで一言も発していなかった凱だったが、全てを理解し、受け入れているのだろう、話す表情に動揺や困惑の色は微塵も感じられなかった。でもたった今、凱が発した聞き捨てならない言葉に私は、

「え?凱…今、私の事、神遣士って言った?」私は飛び出しそうになった心臓をテーブルの上に置かれた紅茶で飲み込む。


そんな私の動揺ぶりをみた母は、声のトーンを落とし、静かに語る。


「…。そう、あなたが今、この世界の神遣士。そして凱があなたの眞守り人バートラルよ。そんなあなた達を罠にかけたのが、メルゼブルク王とクラウディス。そしてシュバリエのロイ。彼らは黒幕の本星か、もしくは手下。そこにお父さんと洗脳された莉奈が関わっているのかもしれない…。」


 凱の代わりに信じがたい真実を語る母。私の驚きは収まることなく、凱の顔を凝視する。自分がこの世界の神遣士。凱がバートラル…。想像なんてしたこともない、するはずがない状況に体が震える。


「何、言ってるの?」混乱する私の目を、凱は一心に見つめて、無言で手を握る。そして頷く。


「お母さん。私、そんなこと言われても…、何が何だか…。それに…、私…、神様の声なんて聞いたことない…。」私は興奮のあまり、凱の手を振り払う。その取り乱した様子に母は、


「当り前よね。夢って思ってたことが全て現実で、自分がこの世界を護る神遣士だなんて…。でも、受け止めてほしい。これは紛れもない事実だから…。」


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