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【第16夜③ ~ファーストキス⁉~】

【前回より】


「もしその力を持ち合わせているなら、(わたくし)はこの星のために、民のために、皇子と…。皇子の私を思ってくださるそのお気持ちに甘えて、世界を救うために…、あなた様と共に歩いていきたいと思っています。とはいえ、まだ皇子への気持ちは正直…。でも私は…。」


 結婚の気持ちを決めながら、まだためらいを抱える私の心情を察し、皇子は私の唇に人差し指を置き言葉を制して、



「わかっています。結婚相手として正式にお会いしたのはつい先日の事です。想い人がいる状況で、姫が私に思いを寄せてくれるなんて思ってはおりません。少しずつでいいです。私という人間を知って、いつか本当に私を愛してくれる、その日まで私はあなたへの思いを伝えていきます。」そう言って、今までで最高の晴れやかな顔を私だけに向け、


『あなたを愛しています』シンプルにそう言うと、少し横を向いて照れる皇子。


「かっこつけて何度も思いは伝えてきましたが、改めて言うと…、とても照れますね。」皇子は顔を赤らめ私を見て、


「今まで、姫に自分をよく見てもらうために、クールでスマートな男を演じることに努力してきましたが…、本当はこんな感じで全然かっこよくない私です。」そう言ってクシャッと笑うその顔がたまらなく素敵すぎて、心臓がいくつあっても足りない位に脈打つ鼓動で、胸がはち切れそうになっている私は、思わず皇子の手を自分の頬に当て、


「とても素敵です。」と無意識に笑顔で微笑んでいた。それに皇子は感極まったのか、その手を両手で持って、満面最高の笑顔でその手にキスをする。そして、


「姫…、ありがとうございます。あまりの嬉しさに胸がはち切れそうです。」そう言って、しばらく私の両手に頭をあて、幸せを嚙みしめる皇子。それから、少し心を落ち着かせ、


「この国はもちろん、世界を救うことが私にとっても使命だと思っていますし、何よりも…それに向かってあなたと夫婦として、手と手を取り合っていけることを神に感謝したい。」そう言って、深呼吸して続ける。


「私が考える姫の潜在能力。それは、あなたを慕う仲間や民を幸せにする力だと考えております。姫との結婚の話がまだ噂に過ぎない状況下でさえ、ジークのたくさんの国民が王宮に集まり、私を祝福してくれました。相手があなたであるなら…、この国を幸せに導くに違いないと…。ジークの民の中で国という概念は強くはありません。人々が皆、平和に安心して暮らせること。それが第1と考えていますので、ジークがファータと合併しようとそれは問題でもないのです。民も私とあなたの結婚を望んでおります。」私は少し涙目になって、うんと頷き、


「わがファータの民も、この結婚を強く望んでいると聞いております。国の安寧を私たちの結婚によって果たせる、それは王として嬉しい限りです。」そう言ってにこっと笑う。その笑顔に引き込まれた皇子は、


「私の愛に嘘偽りはありません。あなたを心から愛しています。姫。」そう言って私の手を引き寄せ、そして強く、そして優しく抱きしめる。私は強引な皇子の求愛に少し戸惑いながらも、その愛とぬくもりに身を委ねる。


『自分を愛してくれる人に抱きしめられるって、こういう感覚なんだ。心も温かくて…いろんなものが満たされていく。』


初めての感覚に困惑と同時に幸せを感じる。


「皇子、こんな(わたくし)ですが…、これからよろしくお願いします。」私は抱きしめられたまま伝える。すると、顔をくしゃくしゃにした皇子が、自分の腕の中にいる私の顔を見つめながら、


「私こそ!」と言って、また強く抱きしめる。今度は力が入りすぎて、


「皇子、痛い、痛いです。」と言うと、焦った皇子はパッと離して、


「ごめんなさい、姫。大丈夫ですか?嬉しすぎて、つい…。」恥ずかしそうに笑う皇子。


「皇子の思いが伝わって…、すごく嬉しいです。」と恥ずかしそうに顔を赤らめて言うと、皇子は私の目を見つめ、その顔が徐々に近づいてくる。


『これは…、これは…、もしや?』と思ってドキドキしていると、


「ほんとのキスは、式まで我慢しますね。」と言って、おでこにキスをする。顔をさらに真っ赤にしている私をみて優しくほほ笑む皇子。


それから急ピッチで結婚の準備が進められていった。


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