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【第15夜④ ~本物の魔導書?~】

 この極界攻撃魔法は、本来半径10キロの範囲の敵を殲滅するだけの力がある。ただ今回の標的はクラウディスのみ。しかし、彼のすぐ近くに王宮の多くの衛兵が控えている。そのため、ピンポイントでクラウディスを攻撃するためには、最高ランクの補助魔法も併せて狭い範囲で圧縮して繰り出すことが必要で、それを成功させるためには、通常の魔力の1.75倍の魔力と、一糸乱れぬタイミングで繰り出すことが必須とされている。


 私たちは顔を見合わせ頷くと、重ねた手を目の高さに持って行き、呪文を唱える。

『ルドラーガ!』私と凱の慎重、かつ大胆、かつ高速での魔力解放に、民は圧倒され、眼前で何が起こっているのか理解することができていない。


 私たちの放った呪文とほぼ同時に、虹色の光がクラウディスに向かって進んでいく。しかし、これは見えるものにしか見ることが出来ない光の道。魔力の道筋がつけられた攻撃は、何があろうと外されることなく必中する。この虹色の道は、私たちが呪文をかけるターゲットのまさに天国へと旅立つ道のように清く美しく、ターゲットまで伸び、そこから天空へとさらに伸びている。その光は見えるものを魅了した。


 凱の計画通り、半径5mに魔力の道筋を通すことに私たちは成功した。そしてすぐさま、本攻撃に取り掛かる。


「莉羽。いっちょ、行くぞ。」


「了解。」私たちは合わせた手を握り、天に向けて伸ばす。そして声を合わせて唱える。


『ロドルガ!』


 クラウディスの半径5mの地面から光が天空へ延び、クラウディスをその光が包み込んだ。その直後、その光が一斉にクラウディスの体の中に吸い込まれるや否や、今度は逆に、光が体から放出され一気に天空へと向かっていった。クラウディスは倒れこむ。狙い通り、クラウディスは動くことさえままならない状態になっていた。


私たちはそれを見届けると、最後の計画に入る。


「莉羽。まだやれるか?」


「大丈夫、任せて。」額からにじみ出る汗もそのままに、どや顔で私はそう言って、昨夜から必死に解読に挑んだ最後の極界魔法の難関、魔封印の序章の呪文を唱え始める。凱は私の様子を確認すると、


「大丈夫そうだな。ちゃんと、複製の方を使っているし…。」とボソッと呟いて、私が部屋から持ち出した本物の魔法省の魔導書を魔光念によって自分の手元に瞬間移動させ、

「莉羽が解読に成功したし…。」そう言って国王を見ながら、


「これはもう用なしだな。」と笑って、数ページだけ切り取ってあとは全て炎に包む。私は本物の魔導書を焼き払ってしまった凱に驚き、


「あ、あれって、本物の魔導書なんでしょ?燃やしちゃって良かった…の?」私は恐る恐る聞く。すると、


「先代の王たちが残してきた本物の魔導書は…、国王が極界魔法習得中に誤って燃やしてしまったんだよな?」国王を試すような顔で尋ねる凱。王は突然の暴露に一瞬ひるむ。そして、


「なっ、何を言っておる。わしが魔導書を燃やすなど…、あるわけなかろう。」そう言う額から汗が噴き出てくる。


「じゃあ、この…さっきの本物の魔導書から破った数ページの魔法を…、そこの衛兵。試してみてくれるか?」凱はそう言うとその破った魔導書の一部を衛兵に渡し、魔法を試すように促す。訳も分からず衛兵が魔法をかけようとした瞬間。


「やめろ!」国王がその声と同時に衛兵に攻撃魔法をかける。血を流し、その場に倒れこむ衛兵。


「なっ、なんてことを!」私は衛兵に駆け寄りすぐさま回復魔法を施す。


「王、なぜあなたはこの衛兵に攻撃魔法をかけたのですか?今の状況は、あなたのおかげで全国民の脳内に画像として流れています。どう弁明するおつもりで?」凱は静かに尋ねる。その凱の周りを漂うオーラに圧倒され、さらに汗が噴き出ている国王。


「そっ、それはじゃの…。」言葉が出てこない国王はしどろもどろになり、なかなか説明できずにいる。


「このページは本来、極界魔法の1つ、回復魔法の難解な魔法、瞬時回復魔法が記述されているページ。」そう言って、周りに見せながら説明する。そして、


「ところが…、この魔法を読み進めていくと…。」凱がその魔法を上空を悠々と飛ぶ鷹にめがけてかける。すると、空から何かが降ってきて、それをキャッチする私。ゆっくり手を広げてみると…、

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