表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/494

【第10夜② ~黒幕発覚と容疑者~】

 現場に直行する私と凱。クラウディスは国王に呼ばれていてそこにはいない。狭い部屋に血を流して倒れている老人。昨日、笑顔で会話したことを思い出し、胸がいっぱいになる。


「朝食を届けに来た時にはもうすでに…。」団員が肩を落として報告する。


「そうですか…。彼の遺品はありますか?」


「いや、これといって何も残されてはいませんでした。」


「そう…。」部屋全体を見回す。日の光が時間とともに角度をかえ、さっきまで暗かった場所を明るく照らしていく。床も壁もクローゼットも、くまなくチェックして何もないことを確認し、また部屋を見回す。すると日の光のわずかな移動によって、さっきまで光の反射が見られなかった場所が、キラキラと光っていることに気づく。


『何だろう?』近づいてみてみると何かがある。私はそれをそっとポケットに入れて、


「確認終わったので、私は出ますね。この後皇子が来られるでしょうから、今後のことよろしくお願いします。」そう衛兵に告げて、彼の遺体の前でお祈りをして部屋を出る。


私と凱は、すぐさま部屋に戻り、さっきのものを取り出す。それは、真っ黒な石の埋め込まれたロケットペンダントだった。


「あれ?このペンダント、お父様のペンダントだけど…、なぜこの人が持ってるんだろう。」私が疑問に思って言うと、


「何か間違いじゃないのか?」凱もそんな事あるわけがないと、冷めた感じで言うので、


「だって、これ素敵だなと思って、そのうちもらおうと思っていたものなんだもん。」私が少しムキになって言うと、


「そう…なのか?まあ、中を見てからだな。」と開閉部分を静かに開けてみると1枚のメモが入っている。まさか!と思い開いてみると…、


『昨日はお話しできて嬉しかったです。少しだけ思い出したので書いておきます。


[特徴:騎士団の甲冑で武装 長髪 切れ長の目 濃い紫の瞳 長身 ベージュの髪 目元のほくろ]』


はっと顔を見合わせる私と凱。これは睨んでいた人物の特徴そのものだった。


「これ…。」


「ああ、予想通りだ。」冷静な凱。


「でも…、そうであってほしくなかった…。」その紙を見ながら自然に涙があふれる。


 1つ1つの特徴を確かめながら、今まで一緒に過ごしてきた『騎士団長ロイ』との思い出にふける。妹のように可愛がってくれたロイ。どんな時も私の話に耳を傾けてくれた。どんな時も守ってくれた。どんな時も民を優先としてきた。そんな彼がなぜ…。


 この事実を簡単に受け止めることができず、動揺している私たちのもとに、体調を崩して寝込んでいたはずの莉奈がやってくる。


「あら、2人で何をやってるのかしら?」泣いている私の顔を、莉奈は疑いの目で見ながら続ける。


「ねえ、凱?王宮から盗まれた魔導書の件なんだけれど…、見つかったって知ってる?」


「え?魔導書が?」凱が隠したはずの魔導書だとしたら…、と急に不安になる私。


「そう。それもどこから見つかったと思う?」莉奈は、にやっと笑って言う。


「…。」凱は何も答えない。その様子を見ながら、


「話せないわよねえ…。話せる訳がないわよね。だって…、あなたの部屋から見つかったんですもの。国王とクラウディスは、今までの拉致事件も魔導書紛失も…、今回の異国の老人の殺人も、何もかもあなたの仕業じゃないかと疑ってるわ。」


「え?なにそれ?」私はあまりの出来事に声が裏返り、それ以上声を出すことができない。




凱は小声で呟く。

「はめられたか…。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ