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最愛の家族へ~私が遺せるもの~

 ラルスによって呪縛を解かれたエドヴァルドは、静かにその奇跡の再会を見守っていた。


そして、ラルスの様子を見て護衛者の石を渡した決断に間違いがなかったことを改めて感じる。


「あの人には先が見えていたのか?」


改めてラルスの力に感嘆し、微笑んでいると、遠方の山の向こうから邪悪な気がこちらに向かってくるのを感じる。


すかさずエドヴァルドは、


「ラルス、邪魔して悪いが、奴らが戻ってくる。」ラルスに知らせると、


「ああ、そのようだな…。私自身の治癒もだいぶ進んだし…、後は本気で戦うまでだ。」


ラルスが力強く答えると、


「ねえ、あなた。私に考えがあるのだけれど…。」そう言ってラルスに耳うちするレティシア。


それを聞いたラルスは驚き、しばし頭を巡らせるが、レティシアの強い思いを受け取ったラルスはティアナを抱っこした状態でレティシアを強く抱きしめ、


「それが君の願いと言うなら…、私はそれを止めることは出来ない。思うがままにコテンパンにしてほしい。」そう言ってティアナを降ろし、にこっと笑って、今度はレティシアだけを抱きしめる。


すると足元の方から、


「ふふ、お父さんとお母さん仲良しだね!でも私も間に入る~。」


と駄々をこねる愛しい娘が自分を抱っこしてくれと言わんばかりに見ている。その様子がなんとも愛らしく、レティシアに笑いかけてから、再びティアナを左腕で抱っこして、右の手はレティシアのあごに手を添え、少し上げて、そっと口づけをする。


「頼んだよ、レティシア。」そう言うとレティシアも答えるように、ラルスの首に腕を回し、自分の方に引き寄せて、口づけのお返しをする。それを目の前で見ているティアナは、


「お父さんとお母さん、仲良しじゃなくて…ラブラブだ~。」嬉しそうにニヤニヤしている。


その言葉に、夫婦は目を見合わせ、フフッと笑うと再び熱いキスを交わす。


 そんな幸せな空間に、傷だらけの体で何とか戻ってきた華那とジルヴェスターが姿を見せる。


「感動の再会?って言ったところかしらね?まあ、その気持ち悪いほど幸せ感たっぷりの時間を今から、絶望の時間に変えてあげるわよ。おままごともここまで…。さあ、始めるとしましょうか。」


華那がそう言うと、レティシアはエドヴァルドに、


「主人と娘をこれからもよろしくお願いします。」


そう言って深々と頭を下げる。突然の事に驚いたエドヴァルドが、慌てて頭を下げる。


その様子を見て少し微笑んでから、真剣な表情でラルスの目を見て、


「行ってくるわ。」と微笑み、私が渡した石をぎゅっと強く握りしめて、戦場に立つ。


「あなたの相手は私よ。」戦った経験など1度もない…、あるわけもない、か弱き女性が戦場に立つ。


大企業の令嬢として生まれ、大切に育てられ、何不自由なく生きてきたレティシアの一大決心をラルスは驚きつつ、背中を押した。それが彼女にとって、自分と愛する娘の為にできる唯一で最高で…最後の愛に他ならないものだからと…。



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