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夢にまで見た再会~生と死の世界を越え~

うなだれていた私の頭が徐々に持ち上がってくるのを見て凱が、


「おかえり、莉羽。」とパソコンのモニターを見ながら声をかけてくる。


そんな凱に、私は「おかえり」くらい、こっち見て言ってくれればいいのにと思いながらも、にこっと笑って、


「ただいま。」と答える。すると、心なしか不機嫌そうな凱が、


「なんだか機嫌がいいな。なにか良いことあったのか?」と尋ねてくる。私はそんな凱に違和感を覚えながらも、


「この後、感動の再会が待ってるからさ、ワクワクしてるの!」


私が嬉しそうに話す様子に、今度はきょとんとした顔でこちらを見ながらぼそぼそと私に聞こえないような声で呟く。


「さっき自分がしたことは忘れたのかよ…。」そう言って、再びモニターを見つめる凱に私は、


「今なんか言った?聞こえなかったけど。」不思議そうに尋ねるが、凱は、


「いろいろと了解したよ…。」またボソッと言ってから続ける。


「さっ、お前も仕事に戻って、他の星の状況も確認再開!」なんだかいつもと違う凱の態度に私は、


「何、それ~。どうしたの?凱?


まあいいか…、それよりも…、ナータンの様子を一緒に見届けてほしい!少しだけ、お願い!」


私の熱意に押された凱がやれやれと少し呆れ顔をしながら、


「分かったよ。ナータンだよな?


今アースフィアの兵器の再配置に取り掛かってて、あんまり時間ないけど…。


了解。」


凱は少しため息をついてそう言うと、私の頭をポンポンとしながら続ける。


「天然も罪だな…。」


私が凱の態度の違和感とこの言葉の意味に気付くのはこの後だいぶ経ってからになるということを、この時の私は知るわけもなかった。


※※※


私と凱がこんなやり取りをしている間、地上に出たレティシアの魂は、ティアナを探す。すると、その手前に、見知った顔を見つける。すると、その相手も、こちらに視線を向ける。


2人の時が止まる。


「レティシア?」


ラルスはあと少しで浄化の回生を終えるところだった。体中傷つけられ、血まみれになっている夫の姿を視認した妻レティシアは魂から実体に近い状態に姿を変え、


「ラルス?よね?」


その目からはもうすでに大粒の涙がこぼれ落ちていた。ラルスは回生の一章の祈りを全て終えると、一気に力を放出する。


 ラルスの体の周りを浮遊している無数の魂を一気に祈りの力で天に送り出し、そして自分の体の傷に治癒術をかけながら、最愛の妻、レティシアを抱きしめようとする。しかし実体のない体を抱きしめることができない。何度も抱きしめようとするが、その度に空ぶってしまう。


その2人の様子を見ていた華那が、


「あんたたち、何をやってんの?戦いの最中に…、メロドラマかい?なめられたもんだよ。」そう言って攻撃を仕掛けてくる。


 最愛の妻レティシアと再会したことで、モチベのレベルが今までと比にならないラルスは、手を前にかざし、華那を睨みつけながら、


「雑魚は黙れ。」そう言うと、どこにそんな力が残っていたのか…と言わんばかり高エネルギーを放出し、一瞬にして華那とジルヴェスターをその波動で吹き飛ばし、2人の姿はどこにも見えなくなった。


ラルスは視界から2人が消えたことを確認すると、レティシアの手を取り、


「レティシア…。手紙読んだよ…。まさか君が…。」そう言うとラルスの目にも光るものが溢れてくる。


レティシアは夫の瞳を愛おしそうに見つめながら、


「私はあなたに謝らなければならない事ばかりで…、でもそれも叶うことはないと思っていたわ。


でもまさかこんな姿でもあなたに会えるなんて…、これもあの莉羽さんのおかげね。」


とめどなく流れ落ちる涙の雫はナータンの夕日に染まって輝いている。


「莉羽に会ったのか?」ラルスが驚くと、レティシアはハッとして、


「ティアナは?ティアナはどこ?」


必死に探すレティシアの様子にラルスは、ティアナの状況を思い出し、


「こっちだ!」と言ってレティシアを導く。


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