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ティアナ~底知れぬ異能の力~

過去、ナータン全域を巻き込んだ世界大戦の火ぶたが切られ、そしてこの星の終焉を招いた化学兵器のグラウンドゼロであるこの場所で、ナータンの流天力渦はラーニーの母である華那が中心になって行っていた。


そこを任されたのが、まだ子供ながら他に類を見ない力を持ったティアナとその父であり、この星の王であるラルス、そしてその護衛のエドヴァルドだった。


『ティアナは大丈夫だろうか…。』


父であり、回生の祈りを始めなければならないラルスは娘の戦いに気が気でない。


『お父さん、私なら大丈夫。』


その思いが心層を通して伝わり、ティアナは父の心の問いに答える。


『私は、お父さんとお母さんに守られてるから…。すっごくいっぱい愛を貰ってるからね。力をちゃんと出せるよ。だから心配しないで。


でも…、あの渦の中にいるおばさんは、この前の戦いで自分の子供の朔兄ちゃんにあんな風にされちゃったんだよね?


どうして子供が自分のお母さんを怪我させたの?』


ティアナは子供らしい疑問を父にぶつける。


『ああ、あの母親は自分の子供である朔の心を壊すほど傷つけたんだよ…。


愛情を注ぐどころか、子供である朔の命をも奪おうとした…。


だからその心の傷が、朔をあそこまでさせてしまったんだ。って、こんな説明で分かるかい?』


まだ小さいティアナに言葉を選びながらラルスは説明する。


『うん。


そうか…、朔兄ちゃんは…苦しかったんだね…。


可哀そうな朔兄ちゃん…。


じゃあ、私がコテンパンにして大丈夫だね、あのおばさん。』


ティアナの口調は心なしか楽しそうに聞こえる。


その様子に、


『おいおいおい、コテンパンって…。女の子なんだし、そんな言葉遣い…。


全く子供なんだか、大人なんだか…』


すると、ティアナがはるか遠くにいるラルスを見て、あっかんべーする。そんなわが子に、


『あんなことして…。でも、やっぱりかわいいな、私の娘は…。』


苦笑いしながらも嬉しそうに話す親ばかラルスを見て、


『かわいい盛りですね、ティアナは…。私は支人と戦いながらティアナの事も守るので、ターンに集中してくださいね、お父さん。』


エドヴァルドは笑いながら声をかける。


『あっ、ああ、ありがとう。娘を戦場に出すなんて、普通ならあり得ないことで私も少し動揺しているよ…。でも君が守ってくれるなら心強い。


それでなんだが…、


あれは君の弟ではないのか?』


ラルスが、遠くで腕を組んでこちらを見ている12支人の1人、ジルヴェスターを指さして言うと、


『ああ、そうです…。


いずれは戦う事になると覚悟していましたし、万が一の対策も十分立ててきてますので大丈夫です。


それより…自分の娘の力に一番驚いてたのはラルス、あなた自身じゃないんですか?


あの力だからこそ、あの年で12支人を任せられていたんだし、あの子は本当に強い。


底知れぬ力を感じます。


でも実戦には慣れていないかもしれませんし、何かあったら私もいるので大丈夫。


信じましょう、ティアナの力を…。』


エドヴァルドは笑顔で言うが、一方のラルスは、


『ああ。』


と、返事はするものの心配である事に変わりはなかった。


とてつもない力を秘めているとはいえ、子供は子供だ。何かあったらいち早く駆け付けたい。


しかし、自分自身も回生への祈りという自分の使命も全うしなければならない、このジレンマに苛まれているラルスだった。




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