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恥じらう2人~帰還~

「佑依?」玄人は佑依の顔を覗き込む。


すると佑依が玄人の顔を手で押しやり、


「玄人、顔近い。気持ち悪い。」


そう言って頬を赤く染め、口を尖がらせるいつもの佑依の姿を確認する。


「佑依!」


そう言うや否や、玄人は佑依を抱きしめる。


佑依は玄人の体を遠ざけようとするも、玄人の抱きつく力が強く、押しやることができない。


「もう、やめてよ~。玄人のくせに…。」


そういう佑依の顔はまんざらでもない。


「佑依のくせに…、照れてんじゃねえよ。」


佑依は玄人のその言葉にふっと力が抜け、抵抗を止めて、その腕の中の心地よさを全身で感じることにする。


しばし、2人は抱き合い、心穏やかな時間を共有する。すると…、


「取り込み中ごめんね。状況知ってて野暮だなって思うんだけど…、周りがちょっとピンチでね…。」


佑依の洗脳が解けたことを確認し、しばし2人のやり取りを莉月と共に見守っていた響夜が、申し訳なさそうにやってくる。


「あっ、おじさん!」


玄人は佑依を抱きしめていた手をパッと離す。


「ほんとにごめんね。」


響夜はさらに申し訳なさそうに言う。


佑依は顔を真っ赤にしながら下を向き、そんな佑依を見てニヤニヤが止まらない玄人は、気を引き締め直して自分の役割を思い出し、


「おじさん、戦況は?」と確認する。


「こんな状況じゃなければ…、2人でさっきの幸せの続きをね…、


じゃなくて…、戦況ね。


何とかみんな、堪えてる感じかな…。


それでなんだけど…、2人とも怪我してるよね?


玄人君の方はさっきので少し良くなったかなと思うけど、それをちゃんと治癒して体力が回復次第、他の星の応援に行ってもらいたい。


佑依ちゃんは、回復したらまたここに戻って、私の代わりに莉亞を守ってほしい。


あの子はまだ祈りの最中なんだ。


私は一度家に戻らなくちゃいけなくて…。」


「分かりました。ひとまず回復のために戻ります。


なっ、佑依。」


玄人が尋ねると、恥ずかしそうにうつむいて、


「うん。」


と小声で返事する佑依が、またたまらなく愛おしく感じる玄人は響夜の前であろうと気にせず、再び佑依を抱きしめこの上なく幸せな表情で、


「じゃ、行こう!」


そう言うと急いで戻る思いがひとつになった2人だった。

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