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告白~俺の事だけ見ろ!

なあ、佑依。


お前はどうなんだ?


いつも楽しそうに笑顔いっぱいのお前が…、ふと見せる悲痛な表情が俺の頭からどうしても頭から消えなかった。何がお前をそんな表情にさせているのか…。


でもようやく分かったよ、お前を苦しめているものが…。


お前はお前でいいんだよ。


他の何者でもない、お前自身で…。


いつも苦しかっただろ?


莉羽と自分を比べて、あいつに負ける度にお前の心はボロボロになっていったんだろ?


あいつは何をやらせても出来て、自分はいつも勝てない。


そんな自分も嫌だし、親友である莉羽を悪く思う心も嫌だったんだろ?


でもそれは人間として生まれながらに持ち合わせている感情じゃないのか?


俺だって凱には何一つ勝てない。


そんな時はいつもショックは受けるし、泣きたくもなる。


でも俺自身がそれで否定されるわけじゃない。


俺自身はそれで何も変わらず…、それでいいんだって。


誰とも比較することなく、俺自身を高めて行けばいいんだって。


だからお前もそうだ。


お前が莉羽に負けたからって、何も変わらない。


そのままのお前でいいんだよ。


莉羽と比べることなく、お前自身が自分を磨いていけば…。


そりゃ、毎日一生懸命走って走って走りまくってきたから、記録で負けたのは悔しいだろうし、如月の事も…。


でも、それはお前のせいじゃない。


佑依は佑依自身、一生懸命やった。


これ以上ないっていうくらいに努力してきたのを俺は知っている。


だからお前はお前自身を傷つけることなんてしなくていいし、ましてや莉羽を憎むなんてお門違いだろ。


なあ、俺を見ろよ。


俺なんか一生懸命やってきても出来ないことばっかりだよ…。


でも俺は俺自身が好きだ。


どうしようもないなって思うときはもちろんある。


でも、俺はいつも悔いが残らないように、常に全力でなんでもやってる。


だから、負けても出来なくても、全力でやってだめなら自分で納得できるんだよ。


全部自分の責任。


お前だってそうだろ?


なんでも一生懸命やってるんだから、莉羽どうこうの問題じゃない。


お前自身の問題なんだから…。


だから、もう誰かを恨んだり、自分を蔑んだりするなよ。


お前は今のままで最高なんだから…。


この俺様が惚れるほどのいい女だって…、自覚しろ!


そんな負の感情捨てて、早く目覚めて俺の事だけ見ろ!」


玄人はそう言うと佑依の手に自分の12使徒の石を持たせる。


「お前に俺の心が届けば…。幸せにしてやれるのに…。」


玄人はそう言って思いをその「石」に込める。


静かにその様子を見守る莉月は玄人の「石」に、みんなの佑依への思いも注ぎ込む。


『佑依がいてくれるからこそ、まとまるね。』


『佑依がいないとだめじゃん、このクラス。』


『陸上部の要は佑依だな。』


『佑依、大好き!』


みんなの思いが1つになる。。


すると、佑依の持っていた12支人の「石」が佑依のポケットから転げ落ち、そして粉々に砕ける。


その音にはっとする玄人がその「石」のかけらを見ていると、うつむいていた佑依が静かに頭を上げる。




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