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秘策~ロイとコンラード~

「馬鹿め。このまま渦の中に入るがいい。」ヴァランティ―ヌは、そう言うと2人を流天力渦の中に引きずり込む。


「コンラード!アラベル!」アラベルの力が弱まると、エネルギーの流入場所にできた隙間が少しずつ閉じていき、また流れが元のように、地上から天空に流れ始める。



次第に力を失い流天力渦の渦の中に引き込まれていくコンラードとアラベルを何とか引き戻そうとロイは精いっぱい手を伸ばすが、その渦の力は想像をはるかに超えたエネルギーが渦巻き、あっという間に2人は飲み込まれてしまう。


しかし何とか、アラベルの仕掛けた石だけはポルトスが回収することができた。


「ロイさん…。2人が…。」ポルトスはロイの方に近づき、肩を落として呟く。


「ああ…。」悲嘆にくれるポルトスの方を見てから、2人が飲み込まれていった渦を確認し、少しうつむきながら答えるロイ。


「あのエネルギーの渦の中がどうなっているのか全く分からない。私たちが入って彼らの救助に入るという選択肢もあるが…、残念ながら今は2人の無事を祈るしかない…。


酷な事だが…、前を向こう。私たちには果たすべき使命がある。エルフリーデの護衛という使命が…。」


ロイが苦渋に満ちた表情で話すその姿に、何とも胸が締め付けられるような思いのポルトスだったが、


「そうですね…。彼らは強い。彼らの運命は彼ら自身の力で…、ですね。」そう言いながらも心が痛むポルトス。


「ポルトス、頼みがある。」おもむろにロイが言う。


「何でしょう?」


「私の後方で待機して力を温存してほしい。私はエルフリーデを守る。ヴァランティーヌはまた祈りに入るだろうから、おとなしくなるはずだ。それを利用して移動したい。」ロイがそう言うと、


「何を言っているのですか?あなた1人でどうにかできるものではありません、私も戦います。」ロイの作戦にポルトスは驚くが、


「いや、この後大きな仕事が待っている。それには君の力が必要なんだ。ここは我慢して力の回復と温存に注力してほしい。」


そう言うロイの表情の変化を確認したポルトスは、ロイに何か策があるのだろうと、


「コンラード殿と何か話したのですか?」と尋ねるが、


「すまない。今、それを話す暇はない。」そう言うと再び襲い掛かってくる人造人間を次々に切り倒していく。


「蚊帳の外ですか…。なんだか分かりませんが…、分かりました。」


少し不機嫌になるポルトスだったが、ロイとコンラードの考えに従うのが今は得策だろうとその場で自らの治癒を始める。


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