流天力渦~大量発生する人間~
そこにはアーロとケイト以外全員が集まっていた。
「みんな、急に呼び出してごめんなさい。いよいよラーニーが動き出したみたいなの…。完全復活を果たしたのか、間近なのか…。全く分からない状況なんだけど…。
現時点での状況を説明すると…、
各星に巨大なエネルギーの渦、直径100mくらいの竜巻状の柱が1本ずつ、計5本現れたの。それで、その中に12支人のうちの5人がいて、何かを進めているみたい。映像映せる?ログ。」私がログに確認すると、
「うん、ちょっと待って。」
そう言って、現在の状況を部屋の前にあるスクリーンに映しだそうと魔法を唱える。するとスクリーンの画面が5分割され、それぞれ星の現在の状況を映し出す。
「あれって…、ケイトだよな?なんでケイトも柱の中にいるんだ?さっきまでアーロと一緒にいたはずだろ?」驚く一同。
「実はついさっき、また洗脳されたって…、アーロから連絡がきた。ついでに気味の悪い情報も…。」凱が含んだ言い方をする。
「気味の悪いって、なんだよ。」ハルトがすかさず聞く。
凱は全員の顔を見回すようにして、衝撃の言葉を放つ。
「柱の中で人間が発生している…。」その言葉に仲間たちは全員固まる。
「人間が発生?って、どういうことだよ。」玄人が食いつく。
「言葉の通りだ。見てもらえれば分かる…。ログ、その映像をこのパソコンに流せる?」
「多分できると思うけど、やってみる。」再びログが魔法を唱えると、凱のパソコンにその映像が映し出される。
「さすがだな、ログ。」凱がほめるとログは得意げに、
「なんでも言って!」と胸を張る。
それから凱はその中のメルゼブルクの映像を拡大し、その衝撃の映像をさらにズームアップする。
その映し出された映像に息を飲む仲間たち。
「柱の中の何もないところから、確かに人間が生まれている…。何なのこれ?」
そう言ったアラベルの目に涙が浮かんでいる。
「怖いよ。気持ち悪いよ…。」リディアも泣きそうな顔でエルフリーデにしがみつく。
「これがお父さんが言っていた、人間の生命エネルギーで新たな人間を作り出りだすって事?」私が尋ねると、父は黙って頷き、
「言葉でしか説明を受けていないが、おそらくそういう事で間違いないと思う。この間にも各星からどんどん人間がファータに送り込まれ、そのエネルギーが奪われて…、最悪彼らはもう、戻されることなく、その命も奪われているかもしれない。」さらに衝撃の言葉を伝える。
「えっ?まさか…。そんな…。」私は顔から血の気が引いていくのを感じる。
「そういう可能性は十分ある。」父は静かに答える。
「今ある命が奪われ、新たに洗脳された人々が生まれているという事なの?」
莉月も今にも泣きそうな表情で聞く。黙って頷く父。
「まさかそんなことが…。」コンラードが唇を噛む。
此処にいる誰もが、言葉を発することが出来ない衝撃を受け、暫く誰も言葉を発することが出来なかった。




