癒しの楽園~もしかして…、君が?~
私の企みにより、ファータに半強制的に赴くことになった莉亞とエルフィー皇子。微妙な距離感で歩く2人の会話は心なしかぎこちない。
「中庭に何があるっていうんでしょうね?全く莉羽は人使いが荒いんだから…。
何か心当たりありますか?皇子。」
気を利かせて皇子と2人きりにしてくれたことに感謝しながら、莉亞は久々に皇子と2人きりの時間に顔を赤らめ、高鳴る鼓動を何とか抑えて尋ねる。
「いや、特には…。姫…いや、莉羽と呼んだ方が正しいのかな?莉羽がなぜ私たちにここを送り込んだのか、私も彼女の意図が読めない…。」皇子はそう言うと、足元に咲く美しい花に手を当て、
「この中庭はいつ訪れても、本当にきれいだね。初めて来たのは5年前かな…。」
「そうですね。私も過去に一度だけ来たことがありますが…、その時もとても美しかったです。ん?
5年前…ですか?」
莉亞が眉間にしわを寄せて考えていると、いつの間にか彼女の周りに先ほどまで姿の見えなかった蝶や鳥、動物たちが集まってきて、その鳥のさえずりに莉亞は微笑む。
その穏やかな光景を目にしたエルフィー皇子はにこっと笑い、ふとここを初めて訪れた時の事を思い出す。そしてしばらくすると、怪訝な表情で、
「ルイーゼ?君は莉羽の妹だったと聞いたけれど…。」少し首をかしげて尋ねる。
莉亞は振り向いて、
「はい、そうなんです。そういうお話もなさったんですね?ちょっと前に分かったことですけど、私もびっくりしました。」
莉亞の肩にリスが飛び乗り、驚きの笑顔が弾ける。
「こらこら、みんな、落ち着いて。」
莉亞は周りに集まる動物たちに優しく声をかける。
たくさんの生き物たちと触れ合う莉亞の姿に皇子は確信を得て、
「もしかして…、君が…?」そう莉亞に尋ねると、突然、がたがたと地面が揺れ始め、遠くから地響きが徐々に近づいてくる。
「何?」莉亞が焦っていると、2人の心層に私の声が響く。
「すぐ戻ってきて。緊急事態よ。」
2人は顔を見合わせ頷くと、急いでアースフィアに戻る




