表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
448/493

神遣士の言葉~未だ聞えぬ神の声~

リーゼとのそのやり取りの中、私はある事を再び思い出す。


『神遣士の立場でありながら、神の言葉が一切聞こえないこと。


なぜ私には聞こえないのか…。本当に自分は神遣士なのだろうかと…。』


その不安が私の心に暗い影を落とし始める。


『私はここにいて本当に良いのだろうか…』


私は無意識にうつむき始めていた。


そんな私に、スヴェンが、


「先ほどまで私は完全に悪に飲まれ、自我を失う所でした…。


しかし、父の思い、またメルディスティアードの思いで私は今ここにいます。それも全て過去、莉羽様が説かれたその言葉に賛同した父の気持ちだと思うと…、私は莉羽様に感謝の気持ちしかありません。


本当にありがとうございます。」スヴェンはすっきりした笑顔でそう話す。


私は、少し戸惑いつつ、笑顔で、


「ごめんなさい。本当に記憶が無いんだけど、2人がそう言ってくれるってことは…、そういう事なんだとは思うけど…。とりあえず…、ありがとう。」苦笑いしながら伝える。


すると玄人が、


「ほらほら顔が強張ってんぞ。」とすかさず突っ込んでくる。そんな玄人に私が、


「全く、玄人は…。」と漏らすと莉亞が、


「はいはい、皆さん、今から飛びますよ。莉羽も準備して。」そう言ってメルゼブルクに飛ぶために術をかけ始める。


少しずつ光の輪が大きくなり始めると、その隣に突如大きな闇が現れ、仲間たちの間に一気に緊迫した空気が流れ始める。


「何…、これ。」ふと言葉を漏らすと、その闇の中から、低く重苦しい声が響いてくる。


「さあ、契約の時がきた。こちらへ来るがよい。」


聞こえてきたのはそう紛れもないラーニー、その人の声だった。


皆がハッとスヴェンを見ると、その瞳は真っ黒に変わっている。


リーゼは心の目で状況を飲み込むと慌てふためきながら、


「駄目よ、スヴェン、そっちに行っちゃ。」出来る限り手を伸ばすが、時はすでに遅かった…。


皆の目の前でスヴェンは一瞬にして闇に飲まれ、その姿はどこにも見えなくなっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ