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欲に狂わされた王~粛清される感謝を~

異常な魔力を感じた私と凱は、急いでリーゼの部屋に駆けつける。


「どうしたんだ?」


凱は息を切らし、部屋の様子を見ると、泣きはらしたリーゼが床にしゃがみ込み、従者スヴェンがいないことに気付く。


私たちが部屋に入ってきた事に気付いたリーゼが、凱の姿を探すように見回しながら、


「お兄様、スヴェンが、スヴェンが…。」そう言って泣き崩れるリーゼの手を取って、


「スヴェンに何があった?」凱が鬼気迫る表情でリーゼに聞くと、リーゼはハッとして、


「お父様の身が危ない!お父様の部屋に行かないと…。」何とか立ち上がろうとする。私はその手を取って支えながら、


「凱!私がリーゼを見てるから、先に王の部屋に向かって!」そう言うと、


「ああ。分かった。リーゼを頼む。」そう言い残して部屋を飛び出す凱。


※※※


メルゼブルク王ハラール2世の部屋で、すでにスヴェンが呪いの言葉をかけようとしていた。苦しむハラール2世。


「お前が俺の父さんと家族を…。殺してやる…。俺が今までどんな思いで生きてきたのか…、その全ての悪念をこの呪いの言葉に込めてお前の中に注ぎ込んでやる。」


そう言うとスヴェンの瞳の色が灰色になり、体を纏うオーラが部屋中を覆いつくし、徐々に重苦しくなってくる。


その空気にさらにもがき苦しむ王は声を振り絞りながら、


「お前は…、そうか…、あの仕立て屋の息子だったな…。そうか…、そうじゃった…。遠い昔の事で忘れておった…。」王はベッドで悶えながら、スヴェンの顔を見て、


「運が悪いのう…。わしの世に生まれ、わしよりも力ある者の元に生まれてきたばかりに…。」苦しみながらも悪態をつく。


スヴェンは目を見開き、


「お前、今なんて言った?」王を睨みつける。


するとさっきまで苦しんでいたはずの王が、鼻でフンッと笑い、唾を吐き捨て、


「聞いての通りじゃ、わしの治める世に生まれてきた不運を可哀そうと憐れんだだけじゃ。」会話の途中に部屋に入ってきた凱もその言葉に驚く。


「わしはこの国の王。この国を、しかと治めねばならん。その弊害になるものは全て粛清されねばならぬのじゃ。


わしには何の迷いも恐れもない。そんなわしが、わしの邪魔をするものに対する憐みなど感じはずなかろう?。粛清されるのも、もはやその者たちの義務だからじゃ。わしの為に死ねることのありがたみを感じるべきであろう?わしは尊い存在として感謝されなければならぬ。いくら魔力が強く、この国の為に働いてくれようとも…、結局わしにとって邪魔であれば…、それという事だ。」


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