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父の死の謎~軽んじられた父の命~

それが、15年前突如施行された法令により、父は魔法省に連行されました。


『魔獣煽動禁止法なる法律』が施行され、魔獣を操り国家転覆を謀る首謀者として殺されたのです。父はただ魔獣を悪気から解放し、天に送り出していただけなのに…。


それから私の家族は不幸の一途をたどりました。母や兄弟は王宮での重労働を課され…、母はあまりに過酷な環境に体を壊し、7年前亡くなったと聞いています。


長男であり、父の魔法と同等レベルの力を保持する私は、リーゼ様の従事者としてあなた様に仕える為、あの暗黒の世界で働くことになったのです。


実質、私もその力を恐れられての幽閉…、という事です。】


そこまで話したスヴェンは、少し息を吐く。リーゼはスヴェンの心を思うと何も言えず、声を殺して泣いている。


「リーゼ様、涙をお拭きください。そして、私がこれから話す事をよくお聞きいただきたい。聞いたリーゼ様がどうされるか…、全てあなた様のお心次第です。」リーゼはスヴェンのその言葉になぜか攻撃的な意図を感じ、体を震わせる。


「スヴェン、何をしようとしているの?」リーゼはスヴェンに握られた手に力が入る。


スヴェンはリーゼの落ち着かない様子に、その手を取り優しくキスをする。そして、


「リーゼ様、落ち着いて聞いてください。」そう苦渋の笑顔で言うと、再び話し始める。


「先ほどのハラール2世の話を聞き、長年抱えてきた疑問が全て晴れました。なぜ父が殺害されなくてはいけなかったのか…、という疑問です。


父は羊毛や毛皮製品で、特に魔獣の毛皮を使った防具などに関しては、この国において多大なる貢献をしてきた人です。王も何度か父を王宮に招待してくれたこともありました。そんな状況でなぜあんな法律が制定されたのか、ずっと疑問でした。あの法律に抵触するのは父だけだったからです。完全に父を狙ったような法律。


まさか、メルディスティアードが絡んでいるとは…。その頃確かに父の魔力について、いろんな噂がありました。温厚な父でしたが、魔法の力に関しては相当な力を持っているのではないかと…。

ちょうどその時、魔獣の中でも巨人と呼ばれ恐れられている、一頭でも村を潰すほどの力を持つデガーダムの毛皮を使った防具を王室に納めていたので、その話題はさらに広がり、王の耳にも入ったのでしょう。


デガーダムまで手なずけるほどの魔法の使い手ともなれば、この国でもトップクラスの魔法を使えるだろうと誰もが思っていたに違いありません。事の真偽は分かりませんが、次期メルディスティアードとして父の名が挙がっているといった話も聞きました。


そんな矢先に魔獣煽動禁止法が制定されたのです。その日から1週間もたたずして父は殺されました。そして時期メルディスティアードになったのは、先ほど話しに出てきた莉羽様の父上です。


王の話によれば、莉羽様の父上と王は密約を結んでおり、莉羽様の父上がメルディスティアードになるために法を制定し、私の父はそれによって殺された。王と莉羽様の父上の欲の為に私の父は死んだのです。」


スヴェンは話している間にも怒りが抑えきれず、拳に力が入り、強く握った場所から血が滲んできていた。



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