表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
438/494

悪気の昇華~清き魂~

【私の父はメルゼブルク南東の町で、洋服の仕立て屋を営んでいました。我が家は代々、様々な種類の動物を従える魔法を保持していたのですが、いつ頃からか、その魔法を使うことなく動物と触れ合える、そういう力を持つようになったのです。長男である私も当然その力を持っています。


寒さの厳しいこの国の冬、羊毛を使った衣類の需要が高かったため、父は家業を継いだ当初、山の麓に牧場を作り、たくさんの羊を飼い始めました。効率よく羊毛を確保することができるようになり、生産体制も整えたことから事業としてはかなり大規模なものとなり、また製品が上質であったことから、王室からの注文も徐々に入るようになってきました。


その後、多くの製品を王室に献上していたので、父の代から王室と深い関係を持つようになり、長男である私も、事あるごとに出入りしていました。しかし、数ある仕立て屋から、なぜうちが王室御用達となったのかは、別の理由もありました。


それは、他に類を見ない魔獣の毛皮製品を献上していたからです。魔獣の毛は、軽量ですがかなり丈夫で、しかも色鮮やかな魔獣の毛皮ともなれば、貴族の女性方は競ってそれを手に入れようと躍起になっていました。


また防具としてもその皮は重宝され、市場では中古でも高値で取引されていました。そういった事情もあり、父の店には物にもよりますが、2年待ちの毛皮製品もあるほどでした。


そうは手に入らない魔獣の毛皮をどのように入手していたかと言うと…、全ては父の魔法によるものでした。父の魔法は、魔獣を狂わせる悪気を昇華することで魔獣の魂を天に還す。つまりは魔獣と戦う事なく、邪気を祓い、清き魂に戻してから絶命させることができる魔法を使い、その力で毛皮を入手していたのです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ