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絶望~人が悪魔となる時~

強奪は絶対しないと取り決めていたはずなのに…。


村の奴らでも考えが全く異なる者がいて、話し合いの時は何も言わず、いざ行動を起こしたら…奴らは取り決めを破った…。俺たちの考えは綺麗ごとだと言いながら、強奪を始めて…。


その後だった。奴らに反対した俺の家族はみんな殺された。俺は命からがら逃げてきたが、あの時反対した他の仲間の家族も皆同じように殺されてしまった…。


一度火が付いた武器を持つ悪魔には…、何物も敵うわけはないんだ。


『悪が戦いを起こし、戦いが悪を生む。』


その繰り返しの中で、俺の家族は殺されたんだ。同じ人間同士殺し合うことはあってはならないと、皆最初は分かっていたはずなのに…。でも遅かった。心まで悪魔になった仲間たちは…、俺の大切な家族を…、殺したんだ。


俺は間違っていたのか?人間として正しいことをしたはずではないのか?それなのに、悪は…、戦いは俺からすべてを奪った。だからもう俺はどうなってもいいんだ。人間として正しく生きるってどういうことだ?生きるためなら何でもしていいんだろう?女だって、金だって。奪えば全て俺のものだ。邪魔はさせない。ははははは。」


そう叫びながら、気が狂った男は私に剣を向けてきた。私は無我夢中で奴を…。


そのあとの事は詳しくは覚えていない。ただ、奴が最後に言った言葉だけが今も脳裏に焼き付いている。


「俺はどうすれば良かったんだ…。なあ、あんた、俺に教えてくれよ。俺は、どうすることが正解だったんだ…。家族も全て奪われた俺に…なあ…。」


それからどれくらい時間が経っただろう…。目の前の状況を飲み込めない私にその時理解できたことは…、


ただ私の前に殺された男がいたということ、私の手に血塗られた剣が握られていたこと、そして男の手の中に「石」があったということだけだ。


その後私は正当防衛ということで無実になったが、その男を私が殺した事実は変わらない。私はどんな状況であれ、人を殺した罪人なんだという思いがこの後私をずっと苦しめることになった。



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