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婚約者ソニアの死~全てを奪われた者の悲痛な叫び~

 10年前、お前たちとちょうど出会う直前の事だ。


 フィンとアラベルは聞いたことがあるかもしれないが、私の実家の近くで強盗殺人事件があった。事件なんて起こりようもないくらいの平和で穏やかな日常が、その日を境に奪われた事件だった。そして、その被害者は…俺の婚約者だった女性ソニア…だ。


 彼女とは幼馴染で、小さいころから兄妹の様に育ち、彼女が17歳になったら結婚する約束をしていた。

その日は約束の日のちょうど1年前、彼女の16歳の誕生日だった。彼女の両親も私も彼女の誕生日のための準備で家を数時間あけた。その時だ。


 その当時、シュバリエ南方では慢性的な干ばつにより、人々は飢えに苦しんでいた。王は食料支援を断続的に行っていたが、その南地区の騎士団の長がその食料を横流しし、金もうけに走っていた。待てども食料が届かないことから、各地で暴動が起き、その地方の困窮を極めた人々がシュバリエ各地に流れ込んでいた。


 その中で家や家族、全てを失った男が絶望の果て、私の婚約者ソニアの家に侵入した。男が家に侵入しているのを知らずに、家に入ったソニアは…、男に暴行され、そして殺された。


 私は用件を終え、ソニアを迎えに行くため家に入ると…、そこには暴行され、血まみれで横たわっているソニアの姿があった。蘇生を試みるが、すでに彼女は息を引き取っており、私は絶望した。私の生きる意味でもあった彼女が目の前で、滅茶苦茶に暴行され…、そして…。


 私は怒りのあまり、すぐさまその犯人を捜しだし、殺してやろうと思った。男はその時、2階で金品を物色中だった。私はその男にとびかかり、そのまま男と揉みあいになった。それからお互い剣を抜き、剣を交える。その中でその男は、なぜそのような愚行を行ったか叫んでいた。


「なぜ俺ばかりが不幸になる。妻も娘も息子もこの暴動の中で殺された。飢えに苦しむ俺たちは、ただ食料を望んでいただけだった。届くはずの食料が届かない原因が、、騎士団の長による食料の横流しだと知った仲間たちは、それを知る前、ただ隣村に食料を分けてもらうだけの予定だったが…、女、子供、老人を虐殺したうえ、食料、金品強奪、そして強姦まで始めた。


 俺はただ食料を求めていただけなのに…。


 仲間たちも最初はそうだったんだ…。俺と何人かの仲間で彼らを止めた…。でも…、飢えが俺の村の奴らを凶器に変え、人間性を失わせ、そしてすべてを奪う悪魔にしてしまったんだ。




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