戦いを終えて~戦況共有~
アースフィアに戻ってきた私たち仲間は、戻って早々休む間もなく、それぞれの戦況を共有するため集まる。洗脳から解かれたそれぞれの大切な人である12支人との再会もあり、それぞれがいろんな思いを抱いていた。
また、程度に差はあるものの、怪我を負っているので治療と休養が必要な状態ではあるが、できる事をできるうちにと治療をしながらの会議になる。そこで、全員がコンラードの片腕がないことに気付き、絶句する。
「コンラード…。」私の今にも泣きそうな表情に、
「はは。片腕がないぐらい大したことじゃないですよ。私の異能の力であれば、両腕なくても戦えます。だからそんな顔しないでください。」そう言って笑うコンラードだったが、明らかに具合が悪そうだ。
アラベルがその様子を見て、顔を真っ青にして、
「コンラードさん、できる限り再生の力を施しますね…。」アラベルは治癒者としての力をだいぶ会得してきたようで、真っ先にコンラードの治療に入る。
「ありがとう、アラベル。でも、切られた場所が硬化してきているから…、もう時間の問題かな。」
苦笑いするコンラードに胸を痛めた治癒系の魔法、術、能力を持つ者たちがコンラードの周りを囲む。
「できる限りさせてください。」そう言って、皆それぞれの方法でコンラードの腕の再生に力を注ぐ。
「ありがとう…。」コンラードは皆のその思いに、感謝の思いがこみ上げてきて、男泣きをする。私たちはあえて、コンラードの顔を見ずに治癒に専念する。
※※※
そんな状況の中、アーロがボソッと話し出す。
「それにしても…今回、エデンに行ったのは良いけど…、ラーニーがほんとの所、何をしたかったのかも分からなかったね。自分はほとんど何もしてなかったし…。」その言葉にフィンが食いつく。
「確かに、「この星域をわが物にし、理想の世界を作る」くらいしか、ラーニーの奴、言ってなかったな。ちょっと拍子抜けした感じだった。えっ?こんな感じ?って、みんなも思わなかったか?」フィンの問いかけに、エルフリーデが、
「まだ完全に復活できてないからかしらね…。私たちの力を確認しただけ?とも考えれられるわ。」そう言うと、ラルスがエルフリーデに続けて、
「その可能性が高そうだな…。お手並み拝見って言ったところか…。」そこまで言うと何かに気付いたように続ける。
「そう言えば、朔はどうしてる?」
自分がラーニーの弟であること、また悪に飲まれるほどの強い負の感情をむき出しにした朔を心配するラルス。
「今、リーゼが見てくれてる。多分、感情の乱高下で消耗が激しくて寝てると思うけど…。ちょっと見て来るね。」そう言うと莉亞が部屋を出る。
「それにしても…、まさか、朔があのラーニーの弟だったなんて…。朔自身のあの変貌ぶりも気になるし…。ラーニーまでもあの母親に虐待されていたなんて…。いろいろと事実が明るみになって…、朔の心が一番心配だわ。」母が今にも泣きそうな顔で話す。




