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華那~母親とは~

「朔。あなたが今まで自分の中に抱え込んできた、そのやりきれない気持ちを今ここで解放させるべきではありません。だから待って…。」


リーゼは、頭を抱え、見開いている目が血走っている朔の手を取って、


「心の解放の場所はここではないし、今ではないわ。行きましょう、朔。」


リーゼが朔に優しく囁くと、朔は顔を上げ、リーゼの瞳を見つめる。リーゼはそれに応えるように微笑みかけると、朔は華那にかけていた術を少し緩める。すると息苦しさにもがいていた母が突然、


「そうよ…。ほんとは全部やった。子供たちが泣き叫ぼうが何だろうが、私は私のやりたいようにやりったわ…。だって、望んでもいないのに勝手に生まれてきて、私の生活を邪魔したんだもの、この子たちは…。私が寝たいとき、この子たちは泣き叫んでミルクを…、ご飯をせがんだ。私が遊びに行こうとすると泣きわめく。泣きわめけばどうにかなると思ってる、その考えが許せなかった。


 私はあなたたちなんて欲しがった覚えもない。子供なんていらなかったのよ。私はただ彼に愛されていたかった、それなのに、…あなたたちは私の邪魔をした…。だから、私の所有物であるこの子たちを、自分のやりたいように扱った。


それの何がいけないの?ねえ、何が悪いの?私は悪くない。私は私の好きなように望んだように生きてきただけ。みんなだってそうでしょ?」


苦しみながらも叫び続けた華那を、この場にいる全員が許せるはずはなかった。それまで事の成り行きをも見守っていた仲間たちがこの戦場に集い、無意識に華那に向けての攻撃態勢に入る。人間として、親としてあり得ない言葉に、ある者は涙し、ある者は怒りに満ちた表情を彼女に向けた。


鬼気迫った仲間たちのオーラで今度は本当に殺されかねないと今更ながら気づいた華那は態度を一変させる。


「ごめんなさい。私が悪かった…のよね?反省してるわ。だから許して…。もうしないから…。もう2度としません。許して…、お願い。」そう言いながら仲間たちの顔色を窺う。そして、顔を強張らせながら作り笑顔で、


「ねえ、私ちゃんと謝ったでしょ?謝ったんだからいいじゃない?私を解放して。」


そう簡単に言い放つ華那に、ここにいる全員の怒りが渦になる。それを感じたリーゼは、


「朔、みんなの思いが今にも破裂しそうなほどに大きくなっているわ。それが全てあの人に向かうから、あなたは…、ゆっくり呼吸して、大丈夫だから。私を信じて。」


そう言いながら、リーゼは朔に操心魔法をかけ、心を落ち着かせる。


その間に華那に向けた仲間1人1人の思いが彼女の心層を破壊し、それを受けた華那は終いには泡を吹いて死んでしまったように倒れこんでいる。横たわる母の周りを仲間の女性陣が囲み、


「わたしたち、部外者だけどいいかしら?」私の怒りに満ちたその表情に朔は動揺を隠せない。


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