シルバーの石②~強大な力の保持者~
先ほどまで瀕死状態だった莉亞の目が開き、穏やかな笑顔でこちらを見ている。そして、
「エルフィー皇子…。」最愛の人の名を呼ぶ莉亞。
意識を取り戻し、笑顔を見せる莉亞の姿を見た皇子は喜び、目に溢れるものを感じる。だが一方で、笑顔ながらも、まだ起き上がる事の出来ない莉亞の姿を見て、自分がしてしまった事の大きさ痛感し、
「ルイーゼ…。すまない、私が洗脳されたせいで…。」謝罪の言葉しかかけることが出来なかった。
そんな皇子の心情を悟った莉亞は、ゆっくり首を振り、
「いいえ…謝らないでください、皇子。それより…洗脳、解けたのですね。よかった…。」喜びの涙を流しながらエルフィー皇子の顔を見る。その言葉に、
「こんな状態になりながらも、君は私の心配をしてくれるのかい?」そう言って、皇子は莉亞の体を支えながらも、悔恨の念で下を向く。そして、
「私は何ということを…。」莉亞を支える腕に力が入る。
するとエルフィー皇子が流した涙が莉亞の頬に落ち、その雫がシルバーの小さな石になる。
「これは…。」その様子を見ていたラルスが近寄り、
「もしかしたらと思っていましたが…、2人目はやはり、あなたでしたか…。」
にこっと皇子に笑いかける。
「これは…?」
エルフィー皇子がシルバーの石をじっと見つめているとナータン国王ラルスが、
「それは、神士教が持つ石ですよ。あなたはやはり神士教の1人だったということです。」
「私が…、神士教?」
意味が分からず困惑している皇子に、精霊フィーリアの言った通り、徐々に回復を見せ始めた莉亞がゆっくり起き上がって、
「皇子、やはりあなた様が神士教…。そのお力の強大さ故…、ラーニーがあなた様を欲するわけですね…。」納得した表情で莉亞は言う。




