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ティアナ~我が娘~

妻の記憶がここで途切れる。


 それまで妻に関しては、極力思い出すことが無いように、また考えないように思考をコントロールしてきたラルスであったが、妻の死を知り、自分が思った以上のショックを受けている事を自覚して涙を流す。

 敵の突然の涙に、抱きかかえられている少女は何かを思い出し、声を出そうとしたところで意識を失う。


 自分の胸で意識を失った娘の姿に一瞬焦りを見せるが、すぐさま駆けつけたエルフリーデが、


「気を失っただけです。大丈夫。洗脳は解けています。次に目を覚ますときには、状況を理解できるはずです。」そう言って微笑むと、ラルスは流れる涙もそのままに、


「まさか…、この子がティアナだったなんて…。私がこの子に最後に会ったのは…、この子が2歳の誕生日だった。娘の姿を一目見たいと何度も様子を見に行ったが、見れたのはその日だけだった。


 ベランダで遊んでいるこの子が…、誰かも分からない私に向かって微笑みながら手を振って…。っ


 その次の日、ナータンが最期を迎えた。


 その笑顔を忘れる事なんてなかった。忘れる事なんてできなかった。」


 そう言って大粒の涙を流すラルスの姿にエルフリーデの目にも涙が溢れ、ラルスをそっと抱きしめ、


「こうやって時を経て会えたのも…、運命ですね。」


 囁くように伝えるエルフリーデの言葉にさらに感極まるラルスだった。しかし時は無情にも過ぎていく。再会の喜びを分かち合いたいが、今はまだその時ではない。ラルスは我が子の額にキスをして、



「私は莉羽の元に行かねばならない。ティアナを頼む。エルフリーデ。」


力強い瞳でラルスはそう言うと、少し表情を緩め、頷く。その行動に全てを悟ったエルフリーデは、口をぎゅっとつぐんで、それから微笑み答える。


「分かりました。」


 エルフリーデはラルスを見送ると、ティアナを抱え、戦いの影響がない場所に移動する。


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