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幼き少女~その力~

 アーロの神士教覚醒を見届けたラルスは、先ほどアーロの力により瀕死状態を脱したエルフリーデと共に、莉亞とエルフィー皇子と見知らぬ子供が待つ戦場に向かった。


その戦場に参じたラルスは開口一番、


「なんだ…、ラーニーはあんな小さな子供まで戦わせるのか…。どこまでも非道なやつだ。」


 小さいながらに、こちらを睨みつける子供の姿を見て無意識に言葉を漏らす。年齢的には4.5才だろうか、それくらいの年齢の子に比べ、身長は割と高めだが細身で華奢な女の子だ。


「侮らないで。この子はまだ小さいけど特別な力を持っているわ。」はっきりとは分からないが、子供に何かしらの力があることをエルフリーデは感じ取っていた。


「力があるとはいえ…、戦う気になれない。」


 ラルスはナータンで生き別れた自分の子供を思うと、どうしてもその少女と戦う気になれないでいた。


「でも…、少女のほうは戦う気満々ですよ。」と莉亞が言った矢先、少女が攻撃を仕掛けてくる。


 その少女はエルフリーデが言った通り、小さいながらに特殊な力をすでに操っている。しかし傍から見たら、彼女は何もしていない。ただ何かをイメージしているようだ。

 よくよく観察してみると、彼女の能力は、ありとあらゆる物体の重力を無重力化して、瞬間移動させることで、相手に攻撃を与える…つまりは彼女が選んだ物体を無重力化して、武器にできるというものだった。その為、この戦場の周りに存在する、瓦礫や泉の水も全て武器化され、攻撃されている状況だった。


それに違和感を覚えるラルス。


「この攻撃の根本的発想は、私がナータンで物体の移動について研究していたものに近い。脳からの命令だけで全ての物体の移動を可能にする特異な力の開発。それが非現実的なものであったとしても、特殊な力を持つ者の力を解放させることによって、不可能を可能にする…それを脳の研究によって現実化したいと…。彼女は無重力化した物体を武器にして戦っているのか…。しかし、なんだろう…。この偶然は…。」その幼子の攻撃に圧倒されるラルスとエルフリーデ。


 エルフリーデは、その幼子の攻撃が莉亞とエルフィー皇子の戦いの邪魔にならないよう、結界を張ろうとするが攻撃を受けて再び倒れてしまう。そんな彼女を抱き起こし、再び回復術を施すラルス。そんなラルスを見上げて、


「私は大丈夫です。あの子もおそらく洗脳されているでしょう。私はここで洗脳を解くのに専念します。このままだとあの子は、強大な自分の力で自身もダメージを負ってしまうでしょう。あれだけの力を操る戦いに慣れていない、そんな感じがします。」そう言ってゆっくり立ち上がると、ラルスは、


「わかった。頼む。」そう言って、すぐさま戦場に戻る。


 それからも立て続けに攻撃され、何とか反撃するも子供を傷つけたくないと考えるラルスは、攻撃をかわすことしかできなかった。


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