主従関係~罪の代償~
ラーニー様の元で力の解放を果たした私は、ダズフードの元を訪れる。彼は目の前に突如現れた私に腰を抜かし、椅子から落ちると後ずさりしていく。その顔は真っ青で生気を失ったようだった。私は、いまさら例の件をとやかく言うつもりはなかった。ただ、自分の目的を果たすことにのみ意識を向けた…。
「お久しぶりです。ダズフード。元気そうで何よりです。」ニヤッと笑って続ける私。
「早速ですけど…、取引しましょう。
私は今回の件について、一切口外するつもりはありません。騎士団にも…。国王にも…。もちろん、あなたの奥様にも…。フフフ。」私はそう言って冷たい笑みを浮かべ、
「その代りと言っては何ですが…、まあ交換条件となるんでしょうね…。あなたに集めてもらいたいものがあります。」といい終えると、彼の髪の毛を引っ張り上げ、顔を近づけてニヤッと笑い、
「この星で採れる「石」を集めてほしいのです。それも特殊なもの。鉱石も。色付きはもちろん、透明のものでもクラックが入っていれば…。それらの石のイメージを後ほどあなたに送るので、次にお会いする時までに…。
もし持ってこなかったら…、分かりますよね?全てを世に公表しますので…、フフフ。楽しみにしています。では。」そう言って引っ張り上げていた彼の髪の毛をさらに強く持ち上げた後、一気に地面にたたきつけるように離し、彼の目の前から一瞬にして消える。
その後ダズフードは恐怖のあまり、暫く動くことも、話すこともできずにいた。
その日を境に私とダズフードの主従関係が始まった。
それから一週間ごとに私は彼に大量の石を持ってくることを強制した。彼は騎士団の業務をこなしながら、石を見繕っては持ってきた。その中でラーニー様が望むものはそのままに、それ以外は家族の武器屋の裏口に全て置いてきた。それらは武器として使用するには力のある石だったので、おそらく加工すれば武器としてかなりの値が付くだろうと思われた。
私は今まで育ててくれた家族への償いの気持ちで毎週こっそり届けていたのだった。
その関係をしばらく続けている中で、ラーニー様がある映像を私に見せてくださった。それは…、
彼の家の一室で、彼の妻の出産シーンだった。私と強制的に別れさせられた後、彼は妻と関係を戻し、待望の第一子を授かったのだ。私は押し込めていた気持ちに再び火が付くのを感じ、子供をあやす彼の姿を見たその翌日、彼を亡き者とした。
私が人をこの手で殺めたのは、彼が始めただった。




