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真実を知る~傷心のアレクシア~


それから数日、私は母が部屋の前に用意してくれた食事に手を付けることもなく過ごしていた。ある日ふらふらになりながら階段を下りていくと、店の客の声が聞こえ、私は無意識に足を止める。


「聞いたか?騎士団長のダズフードの話?」客が少し興奮気味で話す。


「何かあったのか?」父はしらばっくれる。


「格闘ではシュバリエで負けなしのあのダズフードがコテンパンにやられたみたいで、重症らしい。」客は少し面白がって言う。父は、ちらっと客の顔を見て、剣を磨きながら、


「誰にやられたんだ?」父が問うと、


「それが覚えてないらしい。どこぞの村の人気のない路地裏でやられたらしいが、目撃者もいないらしいから…。魔獣か?という話もあるらしいが、本人が思い出さない限り、真相は闇の中ってやつだな。」


父は無言で聞いている。


「いや、しかし、騎士団長も結婚して10年。奥さんは早く子供が欲しいみたいだが、こればっかりは難しい話だしな。奥さんも子育ての環境考えて…、1人で郊外に引っ越したみたいだが、団長も休みの日にしか家に帰れてないって話だから…、夫婦関係大丈夫なのか?って、団員の中でもそんな話があるみたいだ。浮気の1つや2つなんて聞こえてもいい話だが、生真面目な性格だから、そればっかりは聞こえてこないらしいけどな…。禁欲の鬼か?」茶化して笑う客の前に、預かっていた剣をドンと置いて、無言で部屋を出る父。


 突然の父の行動に驚いたその客に、フォローを入れる母の声が聞こえる。


私は客の話の途中から、何も聞こえなくなっていた。あふれ出る涙、嗚咽が漏れないように口を抑え、その場に立っていることもできず、階段でしゃがみ込む。


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