怒れる父~18の誕生日に…~
その日は昼からの土砂降りの雨に、私もなかなか外出できずにいた。そんな中、そわそわしている私の様子に、ちょっとした違和感を覚えたのか、父が私のことを横目でちらちら見ていることに気付く。
彼との交際によって自分がここまで前向きになれたことから、彼との関係を知られても問題ないどころか、喜んでくれるだろうと思っていたので、私はその後、気に留めるのをやめた。
雨が上がり、雨粒が夕日に照らされキラキラ輝く夕刻、私は家を出る。早番で夕刻上がりの彼と待ち合わせをして向かった夕日のきれいな丘で、18歳を迎えたこの日、私は2回目のキスをする。
それから、馬でどれくらい走ったのだろうか、見知らぬ村で食事を終えた後、私は彼に純潔を捧げることになる。病気の事もあり、外泊禁止は暗黙の了解であったため、その日のうちに帰ろうと宿屋を出ると、目の前に父が立っていた…。
そして、私を見るなり目に涙をため、一息置くと今度は鬼の形相でダズフードの胸倉をつかみ、そのまま彼を人気のない路地裏まで連れていく。そして突如投げ飛ばし、
「お前は誇り高き騎士団の一員…、しかもそれを束ねる騎士団長ではないのか!」激高する父。私は何が起きているか分からず、父の腕をつかみやめるよう懇願する。しかし父は、怒りに我を忘れ、狂ったように彼を殴り倒した。私が憤激した父を止めることなど出来ようもなく、彼はその場に倒れこんで動けない。そんな状態のダズフードをそのままに、父は私を馬に乗せ、家路を急いだ。
「お前もお前だ。お前にはハルトだけじゃなかったのか…。」
父はうなだれながら、馬を走らせる。父が放ったこの言葉の意味を、この時の私は理解できるはずもなかった。
家に着き、気持ちを落ち着け考えてみても、先ほどの状況が理解できない私は…、ただただ泣き続けた。なぜ、父はあそこまで激高したのか…。あそこまで打ちのめされた彼は生きているだろうか、18の誕生日の惨劇に涙が止まらなかった。




