表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
383/495

愚王と呼ばれる屈辱~堕ちたプライド~

 ラーニーの洗脳を受けるクラウディスの脳内では彼にとっては耐え難い過去の映像が流れていた。


 時は1年前、王宮の一室において、父であるメルディスティアードに呼ばれた私の姿があった。いつものごとく私に会いに来たクラウディスは、私と父の様子にただならぬ雰囲気をこの時ばかりは感じたのか、隠れて盗み聞きをしている。


「まあ、いつもの話になるが…。」父は普段何事においても饒舌に話す人であったが、この話題に関してはそうはいかないようで、言葉を濁す。私と言えば、ああ、はいはいと言った感じで、


「またその話?分かってるって…。そうしなくちゃいけないことも、そうする事がこの国の平和を維持する唯一の方法だってことも…、私に拒否権がないことも…。」私は半ば投げやりに話している。そんな私を気遣うように、


「まあ、そんな言い方をするんでない。そなたの気持ちは重々承知してはいる。でも…、これはどうやっても抗えない事なのだよ。」困ったように話す父。


「そんな私を気遣うような言い方するけれど、お父様はそうなるようにと陰で手回ししてるじゃない。」


父は困ったように私の言葉に頭を抱えるが、


「お前がこの国始まって以来の愚王と呼ばれるであろう皇子と結ばれることに、抵抗がある事はよく分かっておる。どこもかしこも…、新たな魔法を次々習得し、また生み出そうとする前向きな姿勢、加えて国政にも関心をもって貴族間との交流も積極的に行っている第二皇子の話題で持ちきりであることも分かってはおる…。


しかし、王のたっての希望なのだよ…。第一皇子に王位を継承することは…。その場合、魔法にも国政にも、貴族を束ねる統率力をも考えた上で、そなた以外の候補は上がらないのだよ…。もちろん、わが家門の事もあるが…、これが王宮内、貴族、国民全ての者たちの思いだ。この国のためと理解してほしい。そなたが我慢してくれさえすれば…、この国は安泰なのだ。」


その言葉を聞いたクラウディスは、なんとも言えない無気力感に襲われ、その場に立っていることができずにしゃがみ込む。涙が頬を伝うのを感じる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ