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兄妹戦~一撃のインパクト~

それは、凱とクラウディスの幼き日の出来事…


「僕たちに妹ができるんだって!」嬉しそうにクラウディスが弟の凱に話しかける。


流れてきた情景を見たクラウディスが、


「なんだこの映像は?これは…、事実なのか?」クラウディスが混乱している。


そんなクラウディスに凱は、


「ああ、俺達には妹がいた。いや、いる。それがこのリーゼキャロルだ。」そう話すと、前国王の祖父と父である現国王の、リーゼキャロルが生まれた日の出来事をクラウディスの脳内に流し込む。


全てを見終えたクラウディスは小声で呟く。


「何という事をしたのだ…、おじい様は…。自分の孫娘を幽閉するなど…。そして、父上もだ。娘であれば、なぜ守らなかった!親子そろって人でなしじゃないか…。」そう涙をためながら話し、少しずつリーゼキャロルに近づくクラウディス。


 凱はこれ程までに柔らかく、愛に満ちたクラウディスのオーラを感じたことがなかった。それほど慈愛に満ちたオーラをまとい、リーゼキャロルを抱きしめるクラウディス。  


「お兄様…。」そう言いかけた途端、この機を狙っていた2人の攻撃がぶつかり合い、巨大な爆発が起きる。その衝撃で、クラウディスの体はその後方200mほど、リーゼキャロルの体は30mほど後退していた。


「くそっ。」クラウディスは舌打ちする。


「大丈夫か?リーゼ。」凱は自分の胸で受け止めたリーゼに確認すると、リーゼは何事もなかったかのように、


「ええ、ありがとう。凱お兄様。」と微笑んでいる。


 リーゼとクラウディスの行動をすでに読んでいた凱が、前もってリーゼの体を受け止める準備をしていた為、リーゼの後退はその程度で止まったが、凱がいなかったら、おそらく60mは吹き飛んでいただろう。としても、クラウディスとリーゼキャロルの力にはそれだけの違いがあった。


 それは、一撃目のインパクトでクラウディスもよく理解していた。ここで戦っても、この美しき妹を前に自分に勝ち目がないということを…。力に雲泥の差がある事を…。兄でありながら、弟の凱、そしてぽっと出の妹リーゼキャロルの力に及ばないことを知ったクラウディスは、失意の渦に自らを投じる形で、その後黙り込んでいる。


 するとそのどん底まで落ちたクラウディスの魂を感じ取ったラーニーが、クラウディスの体を自分の元に転送させる。突如目の前から消えたクラウディスに凱は、


「ラーニーか…。」とボソッと呟くと、リーゼも、


「そうですね。ラーニーの念をかすかですが感じます。他の戦場を見ても、皆さん洗脳が解けて…、その洗脳の甘さが露呈したようですから…、おそらく洗脳のかけ直しを図るかと…、そして再戦という事でしょうね…。」


 凱は上空で受け止めたリーゼをゆっくり地面に下ろすと、従者のスヴェンがリーゼの傍に来て話しかける。それにこたえるリーゼの顔に先ほどまでの様子とまた違った何かを凱は感じた。


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