エルフリーデ~姉弟戦闘回避~
佑依がラーニーに連れ去られた隣の戦場では、アーロと姉ケイトが再会を果たしていた。
「姉さん!」姉の久々の姿に興奮するアーロは、今にも姉に飛びつきたい気持ちで叫ぶ。
「アーロ…。」心なしか姉のケイトは心苦しそうな表情に見える。
「姉さん、会いたかったよ…。」アーロの目は涙で潤んでいる。
「ここに来てはいけない…帰りなさい。」ケイトはそんなアーロを直視できず、目を伏せながら諭すように話す。
「どうして?姉さんに会いたくて、取り戻したくて、僕、ここまで来たんだよ!」アーロは自分の思いを訴える。そんなアーロを何とか帰らせようとする姉ケイトは、
「ここにいたら命を落とすかもしれない…、私の力ではもうあなたを守れないのよ…。」声を荒げ、涙ながらに弟に嘆願する。
「いやだ、姉さん!僕は絶対に姉さんを連れて帰ると決めてきたんだ。絶対に帰らない。」アーロの決意は固い。そんなアーロの姿に、ケイトは両手で顔を覆うがその指の間からも涙はしたたり落ちる。
「あなたとは戦いたくないの…。」そんなケイトを前にして、エルフリーデがアーロに、
「アーロ、あなたはここにいて。私はあなたとお姉さんを戦わせたくない。お姉さんをなるべく傷つけないように戦うから、私の援護だけお願いするわね。」優しく包み込むような笑顔でそう伝えると、エルフリーデは下ろしていた髪を結い始める。
「エルフリーデさん…。」アーロは言葉にできない気持ちでエルフリーデを見る。
すると突如、ケイトの体がうねるように震えた途端、目の輝きが失せ、まるで別人のオーラを放ち始める。エルフリーデがケイトを見て、
「ラーニーの仕業ね…。洗脳が始まったわ。」そう言って、戦闘態勢に入る。
「姉弟を戦わせたくないか…。賢明行動だな。そなたがその気なら遠慮はしない。」ケイトに憑りついたラーニーの念が呟く。
エルフリーデとケイトとの戦いが始まる。




