世界崩壊の序章~アースフィア侵攻~
次の日、いぜっきーの家に向かう私と凱。アースフィアに起こるであろう有事に対して、私たちができる計画最終段階を伝える。ここでいぜっきーに渡すのは、ラルスが書き換えた世界各国の軍の機密情報と、有事における行動計画。万が一の際、先生がこのプログラムを発動することで世界の軍の動きを統制できるようになっており、その手順も抜かりなく伝える凱。もし万が一、その計画通りに事が進まなかった場合は、凱の指示の元に、先生がプログラム自体を変更してほしいと伝えられた伊関先生は今日一の笑顔で頷く。
「ところで凱。君はぼく同等、もしくは僕以上の能力があるのに、なぜこれを君がやらないんだい?」いぜっきーは凱の能力とスキルを目の当たりにしているので、凱自身が動かないことを疑問に思っていたようだ。私はすかさずその質問に、凱の代わりに答える。
「ああ、それは…。凱は、世界を救うヒロインを命懸けで守るヒーローだから…ですよ!」と私が笑いながら言うと、いぜっきーは、
「なんだいそりゃ。」と苦笑い。その後ろで凱が私に向けて、
「ご名答!」と笑って言う。その凱の様子に、鳩が豆鉄砲二号と化した伊関先生がきょとんとした顔でこちらを見つめる。その様子に凱は、この世界で起きている【すべて】を先生に伝える。
※※※
その翌朝6時25分、アースフィアの最南端の地を基点とする巨大地割れが起きる。その規模は大きく、他にも複数個所の発生が確認され、アースフィア全域において甚大な被害を受けた。また、凱とラルスの予想通り、その地割れから大量の魔獣が出現し、アースフィア3カ国のうち、第2の国の首都が壊滅的被害を受ける。それを受けて、第3国が魔獣討伐と銘打ち、第2国への侵攻を始める準備を開始したとの情報を得る。私たちが住むアースフィアはその情報をもとに第3国の侵攻を止めるべく、軍隊を第2国の首都に向かわせる。これはまだ情報統制下のもとで行われていた為、マスコミもまだ得ていない情報だった。




