危うい世界~It‘s your turn~
「莉羽~。莉羽~。」とドアの向こうから呼ぶ声が聞える。私はドキッとして、反射的に慌てて凱の腕を振りほどき、
「何~?」と答えると莉亞が、
「伊関先生から電話だよ。」私と凱は顔を見合わせ、
「今行く~。」そう言ってリビングに降りる。
「もしもし、先生?」
「あ、莉羽?そこに凱いる?」先生が尋ねる。
「あっ、はい、今変わりますね。」
「もしもし、先生?武城です。」
「あっ、凱?この前の話なんだけどね…。」
「先生、やる気出ました?」
「う~ん。いや、あの後いろいろ考えたんだけどね…、世界情勢が凱の言った通りに怪しくなってきたから…このままじゃ、大変な事になると思ってね。いよいよ僕の出番なのかなと…。」
「先生なら、そう言うと思ってました。いつ行けばいいですか?」
「準備は出来てるの?」
「はい。おそらく。」凱は曖昧な返事をする。
「なんだい?おそらくって…。」
「確認取れ次第、連絡しても大丈夫ですか?パソコンの方に…。」
「あっ、ああ、もうばれてるもんね。いいよ、いつでも。」
「分かりました。じゃあ、また連絡します。」
「うん…。楽しみにしてるから…。」そう言って、電話を切ったいぜっきーの声はまるでゲームを楽しむかのように弾んでいた。凱といぜっきーのやり取りを聞いていた玄人が、
「しかし、凱はよくこの前、学校に行ったあの段階で、今回の世界情勢について分かってたよな。」と呑気に言う。凱はそれに対して、
「世界に目を向けろ!そして…、新聞を読め、高校生!」と苦笑いしながら言う。
それを聞いていた私だが、新聞を読んでいても、世界にここまで戦争の危機があることを予期できなかったなと…、やっぱり凱はすごいなと改めて思う。




