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絶望と孤独~決して消える事のない罪~

 

 破壊神の絶望を見届けたところで目覚める。私は同じ女性として、破壊神が犯した罪に関しては絶対に許すことが出来ないと思いながらも、彼が受けてきた虐待、その境遇に涙が止まらなくなっていた。彼の心を覗き、その孤独、絶望、ありとあらゆる負の感情ではち切れそうな心が私の中に入ってくる。私は自分の中で、彼への怒りと孤独を感じ、胸が苦しくなり、思うように息ができなくなっていた。


 そこに、なかなか自分の部屋から出てこない私を心配した凱が、部屋に様子を見に来る。呼吸が乱れ、苦しむ私の姿を見て、ただちに私の心層に入り込み私の心の解放にとりかかる。


「莉羽、莉羽、。」凱の呼びかけに応じない私に、すぐさま精神解放の魔法を施す。少しずつ呼吸を取り戻していく私に、凱は絶え間なく名前を呼び続ける。


「莉羽、戻ってこい。莉羽。」


 私がその呼びかけに応じることができたのは、凱がこの部屋に入って来てから10分ほど経ってからの事だったらしい。


 私がゆっくり目を開けると、凱が私の顔を覗き込んでる姿がうっすら見え始める。その様子に安堵した凱は、私のおでこに手を置き、


「良かった。」と呟くとその場に座り込む。私は呼吸を整えながら、何とか状況を伝えようと話し始める。


「私ね、夢を見てたの…。その中で破壊神の過去を知った。彼が幼少期から抱えてきた思い、その有り得ないくらいの過去を知ったら…。」またいろんな思いで涙が溢れる私。凱はそんな私を胸の中に抱き入れ、


「落ち着いたらでいいよ…。」と私を優しく包む。私はその温かさに甘えてしばらくそのまま身を委ねる。


※※※


破壊神の過去を聞き、凱はため息をつく。


「まさか、そんな壮絶な過去があったなんて…。俺たちの想像を超える絶望を味わったんだろうな…。でも…、その話と奴が犯した罪、それと…、これから奴がやろうとしていることは別問題だ。お前は優しいから、そういうところ全部ごっちゃにする癖があるけど…。」


「うん。分かってる。でも、彼の絶望を知ったら…ここが、胸が痛くなって…。でも、女性の事を思うと許せない自分もいて…。」


「そうだな…。でも…、泣いてるのはそれだけじゃないだろ?」私は驚く。そう凱は私が思っている以上に鋭い。私のちょっとした変化も見逃してはいなかった。




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