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プログラム構築~ナータン史上最高の天才~

「体調はどう?」部屋に入ってきたラルスを凱が気遣い、椅子に座る様に促す。


「ありがとう。少し前より食事は喉を通るようにはなってきたよ…。」そう穏やかに笑う。しかし、過去の自分を思い出したことによるショックで、食事もままならない状況は変わらず、さらに頬がこけてしまったように感じる。ここに初めて来たときのあの威勢のよさは見る影もない。


「少しでもつらくなったら遠慮なく言ってほしい。」凱の心遣いに、


「ああ、君の言葉に甘えてしまうかもしれないが、その時はよろしく。」ラルスは苦笑いして返す。


凱はうんと頷き、話し始める。


「まず聞きたいのは、この前の話では回生が間近に予定されていると言ってたけど、その具体的な時期を知っているのか?知っているならその時期を教えてほしい。回生までの時間がどれくらいあるのか…、知っておきたいんだ。」凱が尋ねる。


「そうだな、回生がいつ発動するかで君たちの計画も変わってくるからな…。」そう言って一呼吸したラルスが続ける。


「私が知る限りでは…、ここ数年以内の発動になる…と思う。すまない、こんな曖昧な言い方で。」ラルスはすまなそうな顔で答える。


「はっきりとした時期は分からないって事か?」凱が尋ねると、ラルスは頷き、


「この前話したけれど、ナータンで目覚めたとき、現在の情報が何一つ無いまっさらな状態の脳内に、情報が次々に流れてきたんだが…、その中の1つとして「回生」が近々発動されるというのがあった。それがどんな形で、具体的にいつ、どう行われるかは示されていなかったけれど、各国の王主導で…近々発動される…という事だけは分かった…。君が望む答えじゃないと思うけれど、申し訳ない。」そう言って少し頭を下げるラルスに凱は、


「いや、大丈夫。ありがとう。そうか…、それぞれの星の王が主導して…近々…。」顎に手を当てて少し考えてから、


「俺も、他のみんなも回生についての記憶は、ロックでもかかっているのかと思う位に全く思い出せなくて…。莉羽主導かと思っていたから…、ありがとう。」凱はしばらく考えて、続ける。


「それと…、実はちょっとやってもらいたいことがあるんだ。」凱は本題に入る。


「こんな状態の私にできること…かい?」ラルスは驚く。


「頭脳明晰のあなたにしかできない事と、俺は考えているけど。」凱がにっこり話す。その言葉に少し戸惑いながら、


「以前の私であれば可能だったかもしれけないが…。」と自信なさげに答える。凱はそんなラルスの前に書類を差し出す。


「この国を救うためのプログラムを構築してほしい。」凱の唐突な提案に、訳が分からないといった感じで両手を上げ、


「凱、君は私を買いかぶりすぎだよ。過去の私の情報を調べたのかい?今の私にそんな能力はない。」少し冷めた目で凱を見るラルスに、凱は顔をしかめながら突然、


「記憶戻ってるんだろ?だったら、それくらい簡単なことだよな?」きつい口調で責める。私は凱が人を責める場面を見たことがなかったし、精神的に参っているラルスへのきつい物言いには、納得いかず、


「凱、そんな言い方しなくても…。」ボソッと呟く。凱はラルスから見えない角度で私の方を見て、口で何か言っている。


【だ い じょ う ぶ】


 私はその意味が分からなかったが、とりあえず様子を見ることにする。


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