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秘密裏に勧められた四国同盟~ナータン存亡の危機に…~

 ナータンにおける史上最悪の化学兵器発動された直後、ラルスが対化学兵器を使用し地中深くで眠りに入る事になる以前、ナータンには5つの国が存在し、それぞれの国は高度な技術開発により、全てがシステム化され、人間社会も機械によって管理されていた。

 人間の判断力よりも人工知能による判断に重きが置かれ、人間の存在価値すら脅かされるようなそんな社会に人々は生きているというよりは…、生かされていたという表現が合っているのかもしれない。


 その5つの中の一国「レイ」の超エリート夫婦の間に生まれたラルスは、幼少期からの両親の英才教育が実り、類を見ない程の天才ぶりを存分に発揮していた。誰もが真似できない程、様々な分野において卓越した成績を残していた彼は、どの教育課程においても首席卒業を果たし、自他ともに認めるパーフェクト人間に育て上げられた。その過程で、両親からの過剰な期待と作り上げられた高すぎる自尊心をさらに育んだ末、レイ最高の教育機関に入り、完全に管理された環境の中で最先端の知識と技術を学んだ。そこを卒業したほとんどの者がこの国の中枢機関に配属され、ラルスもレイの最高技術機関に配属になった。


 その当時レイでは、無計画の化学工場の乱立、利益最優先で環境に無配慮の都市開発が招いた環境悪化による健康被害が問題になっており、それに付随する薬害問題も多くの国民を悩ませていた。

 また外交面では、その環境問題が国家間の関係を悪化させ、それぞれの国が過度な自国至上主義を掲げたことが関係悪化に拍車をかけ、いつ戦争に繋がってもおかしくない緊張状態の中にあった。そういった状況下で、各国首脳が他国を凌ぐ高度な化学兵器の開発に躍起になり、最高技術機関の中枢部にいたラルスがその影響を大いに受けることはもはや必然であったことは言うまでもない。


 歴史をはるか昔まで遡ると、もともとレイは物理的略奪、知的略奪の歴史をもとに発展してきた国であることから、諸外国からの恨みは根深く、それぞれの国家間で抱える問題がそう簡単に解決できるものでないことは周知の事実ではあったが、レイがナータンでは最大、最強の力を誇っていた為、他4国が侵略、制圧など考えるはずもないとナータン人の大半がそう考えていた。がしかし、世の中それほど甘くはないことを、この時初めてナータン人は知ることとなる。


 5国の均衡が崩れ始めたのは、レイ以外の4か国が秘密裏に同盟を結んだのでは…との疑惑が生まれてからだった。国の上層部内のみ流れた情報であったため、レイ中枢は、極秘に情報網を張り巡らし、諸外国の動きを注視することに明け暮れていたが、その中で、4か国合同で対レイ仕様のある物(・・・)の開発に取り組んでいるとの情報が入る。しかし、レイ上層部はそのある物(・・・)の正体が掴めず、この危機的状況に打開策を見出せずにいた。


 そんな4国との緊張が続く中、レイはある計画を立て始める。抑止力という名の最高化学兵器製造の計画だ。技術的には他の4か国をはるかにしのぐ力を保持していた上、莫大な研究費用も確保できるレイの中で、ラルスの頭脳があればその開発は容易いものだった。


 しかし、ラルスはすでにそれを完成させていた。万が一を考え、作り上げた兵器の設計図。


 それはあくまで自分の頭の中だけでの話のはずだった。機関のパソコンではいつハッキングされるか危険なため、ラルスは自分のパソコンの中だけにその計画案は忍ばせておいた。


 

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