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蒼護石~自覚と覚醒~

凱は、先ほど話題に出たエルフィー皇子の情報についてもそうだが、ここにいる全員がまだ共有していない情報があるかもしれないと、さらに細かい部分まで時系列でまとめた書類の作成に入る。


 そこで、ふとあることに気付き、エルフリーデに声をかける。皆がそれぞれ話をしている中、エルフリーデは何事かと凱の傍に行き、凱からある事を告げられる。


 エルフリーデはにこっと笑って、その場を離れ、皆が話している輪の中に入っていく。私は凱とエルフリーデの行動に違和感を覚え、凱に尋ねる。


「!」私はそれを聞くと同時に、皆が驚くような大声を室内に響かせる。


「そう言えば、そうじゃん!」


 そう言って凱と顔を見合わせ笑っていると、仲間たちが不思議そうな顔で私たちを見る。


「なんだよ突然大声出して~、びっくりするだろ、莉羽。」玄人があきれ顔で言う。


「ごめん、ごめん。」私が苦笑いしながら頭を下げていると、エルフリーデが皆の様子を見て、にこっと笑って、そこにいる仲間たちの手を順番に取り、そして納得の顔で凱に報告する。そして、仲間たちに言う。


「皆さん、自分以外の方の石について夢中になっていらっしゃいますが…、ご自分の石について改めて考えてみてくださいね。」そこまで言うと、エルフリーデはその後を凱に任せる。


「さっき、ラルスから話があったけれど…、蒼の石『蒼護石』は使徒の石って事だったよな…。」凱はあえてそこで話すのを止め、ニヤッと笑う。するとそれにいち早く反応したのが、一番頭の回転の遅いと思われる玄人がだった。


「えっ?まさかのまさかって事か?」目を見開いて驚く玄人。


「えっ?私が?」アラベルが続く。


「リディアも?」驚きのあまり、食べていたクッキーを床に落とすリディア。


凱が皆の反応を楽しむかのように全員を見回し、エルフリーデに尋ねる。


「ここにいる『蒼護石』の持ち主は…、使徒って事で間違いない?」エルフリーデはそれに満面の笑みで答える。


「はい、間違いありません!」すると、場が一気に沸き立つ。


「マジか!俺、もしかして自分が使徒かもって思ってたんだけど、その後誰も『蒼護石』の話をしないから、自分はただ運よく拾っただけの人なのか?って、ちょっとドキドキしてたんだ…。マジか…、過去1嬉しいんだけど…。」玄人は凱の両肩を叩いて喜んでいる。


「私も、神士教と5星王とあっちの支人の石の話しか出ないから、ここに『蒼護石』の適合者はいないのかと思って…、私も自分が使徒だったらなぁって思ってたから、ちょっぴり残念って思っていたの…。だからすごく嬉しい!!!」アラベルがフィンの胸倉をつかんで喜ぶ。フィンはフィンで苦しいながらも妹の喜ぶ姿に、自分も涙を流しながら、


「やったなぁ、アラベル!!お前もか…。俺もすごく嬉しいよ…。」そう言って涙を拭う。


「リディアも?使徒?」嬉しそうな顔でアーロに尋ねるリディアの頭をアーロは撫でながら、


「うん!そうだよ。リディア!」そう言って微笑んでいる。


莉亞はコンラードに抱き付き、私はエドヴァルドと握手をする。その様子を眺めながら、父と母、そして凱の3人は、


「いよいよ揃ってきたな…。確実に彼らが使徒であることが分かったからには、その自覚がさらに彼ら自身の能力を伸ばす力になる。増々楽しみだな。」


「そうね。彼らの能力の覚醒によって、今後の戦い方も変わってくるわね。その辺りの編成は頼んだわよ、凱。」


「はい、お任せください。」そう言う凱の表情はいつもより頼もしく、そして晴れやかだった。


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