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シルバーの石~もう1人の神士教~

「莉羽…。」母は私の頭を撫でる。


 ジルヴェスターが12支人であること、また、同じく12支人であるファータ国王による使徒王妃の殺害の事実が明るみになり、室内は重苦しい空気が立ち込めていた。


「それにしても、支人と使徒。どこもかしこも、近しい関係で(かたき)になっているんだな…。」父が私の肩に手を置きながら言う。


「そうね…破壊神はあえてこちらの使徒に近い立場の人に、彼の能力を分け与え、より大きな絶望と混乱を招こうとした…という事かしら…。」母はテーブルの上に置いてある莉亞が書いたメモ書きに、ナータン王としてラルスの名前を書き入れようとすると、それを玄人が止める。


「待って、莉月さん。」


「私のおかげでだいぶ話が進んできてるのに、止めるんですか?」ラルスは玄人に当てつけるように言う。そのラルスの言葉にイラついた玄人が、


「おまえの言うことはまだ信じられない。おとなしくしてろよ。」玄人は彼をけん制する。


「ああ、そうですか…。分かりました。」ラルスは苦笑いでかわす。


するとリディアが突然、


「あれ、石に模様が出てきてる。」と石の変化に気づく。


「あっ、ほんとだ…。」莉亞が手に取る。


「王の石と使徒の石が共鳴してるみたいね。」アラベルもそこに加わる。


「きれいだな。」フィンもどさくさに紛れて女子の中に入る。


「こっちの石、全部で12個だよね?あともう少しだ。」リディアが言うと、


「5星王の石は全部揃ったし…あとは…、使徒の石と神士教の石、合わせて12個で…、今使徒の石で見つかってるのが10個だから…、じゃあ、使徒の石が揃うまであと2つ?」アラベルが嬉しそうに言う。


「そういえば…、アーロって神士教って言ってたよね?」とリディアが聞くと、奥からアーロが来て、


「そう、リーゼに言われたけど…。まだ実感が無いよ。」苦笑いしながら言うと、エルフリーデがアーロに微笑んでから、シルバーの石に触れる。その瞬間、エルフリーデが衝撃で一歩、後ずさりして、顔を上げて言う。


「この石は…、神士教の石で間違いないです。」彼女の言葉に歓喜の声が上がる。


「おお~!」


「アーロ神士教!」玄人が言うと続けて、


「アーロ!お前…ちっちゃいのにすごいな!俺たちの上司的存在だぞ!」フィンがはしゃぐ。アーロは驚き、照れながら、


「なんか信じられないけど…ほんとにそうなんだね?」と顔を真っ赤にしている。すると、皆のはしゃぐ様子を見ていた莉亞が言う。


「そう考えると…、エルフィー皇子は神士教かもしれいないね。あれだけの力を持ってるんだもの…。」凱もそれには同感する。


「彼の力は別格だった…。その可能性は大きい…。」凱が口をつぐむと、コンラードが、


「あの方が拉致されてしまったのは…、我々にとっては大きな痛手ですね。」エルフィー皇子の力を知る者たちは肩を落とす。


「そんなにも凄い存在だったのか…。」それを知らない者たちは、凱やコンラードにそこまで言わしめるほど強大な力の保持者を連れ去った破壊神との戦いへの恐怖を感じると共に、皇子の力がどれほどなのか、この目で見てみたいとそんな欲求に駆られていた。


「とりあえず、ラルス。あなたは私たち全員で監視させてもらう。もし疑惑を払拭させたいなら、引き続き知ってる情報を提供してほしいし、俺たちに協力してほしい。」凱がそう言い、その場を収める。

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