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親友への疑念~佑依と玄人~

『早くここから出たい』


そう思わせる空気に凱が、


「まずい。この気の流れはクラウディスとの戦いで感じた流れと同じだ。間違いなく佑依は奴の一派に連れて行かれたんだろう。」


「という事は…、佑依は何かしらの力をもっているということ?」


「可能性は低くはなさそうだ。」


「…」私の肩に手を置く凱。なかなか部屋に入ってこない私たちを、不思議そうな顔をしながら佑依の母が顔を出す。


「あら、どうしたの?2人とも、中に入って。」


「はい…。」


 この淀んだ空気に顔を歪ませながら部屋に入ると、体が押しつぶされそうなほどの重苦しさと息苦しさを感じる。凱はそんな中でも何か手がかりがないかと部屋を見回している。


「机の上にもないし、引き出しは鍵がかかってるし、それらしいものはなさそうね…。何を渡そうとしていたのかしら、佑依は…。」


 佑依の母はそう言いながら、部屋の窓を開ける。すると一瞬何かがその窓から出て行く影をみたような気がした私は凱を見る。凱もそれに気付いていたようで、私にだけ聞こえるように、


「これから俺たちにとって「特別な人たち」を巻き込んだ戦いが増えると思う。でも俺たちは、どうあっても仲間を守る。それだけだ。今までと何も変わらない。佑依は最悪、あちら側なのかもしれない。その時も俺たちはぶれちゃだめだ。…厳しい戦いになるだろうな。」私はそうならないことを祈りながら、


「うん。覚悟はしておくよ。」と返す。


 結局佑依が私に渡したかったものが何だか分からぬまま、佑依の母に別れを告げ、うなだれながら歩いていると、


「ショックだよな…。でも…、前を向くしかない。佑依がもし本当にあちら側だとしても…、取り戻すだけだろ?」そう言って凱が再び私の手を引く。


 私は凱の言葉に頷いてしばらく無言で歩いていると、凱が突然立ち止まって呟く。


「次は玄人か…。」


「玄人にも久しく会ってないもんね。あのバカ、佑依がいなくなってどうしてるかな…。」私がボソッと言うと、凱は真面目な顔をして、


「それが…。」凱は何をためらっているのか、言葉に出さない。私は気になって、


「それが?何?」


「行けばわかる…。」


「え、何それ?どういうこと?玄人も何かあるの?」


凱の意味深な言葉に疑念を抱きつつ、私と凱は玄人の家に向かう。

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