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【実体のない旅の果てに~サイファの真の姿~】

「母のお腹の中で死産したということになっていた私ですが、私の特別な『力』を感じた何者かが、私を殺すために特殊な力を使い、へその緒を私の首に巻きつけたようです。苦しんだ私は、自ら魂だけ胎内から転送させましたが、その行先も何者かによって操作され、気づいた時には何百という天秤が置かれた暗闇の中にいました。そこには1人の男がいて、彼は1つ1つ天秤の動きをチェックしているようで、突然現れた実体のない魂だけの私に気づくと、


「迷ったらここに来なさい。そう伝えなさい。あの子に…。」と苦しそうに言い、続けて、


「未来を変えたいなら…。必ずここへ…。」とだけ言い、そのあと彼は姿を消しました。


 その後、私はしばらく眠らされていたのだと思います。しばらくして目覚めると別の場所にいました。


私はその後も、実体がないままに様々な場所に転送されていたのでしょう。断片的に覚えていますが、具体的な場所は分かりません。誰が何の目的で、私をそうさせたかは分かりません。でも私は確かに様々な所に行き、この戦いに必要な事を見てきた…。いや…、意図的に見せられてきたのかもしれない。何者かによって…。


 そのあと、私は大きな結晶の中に閉じ込められた男を見ました。その男が誰なのか、また何故結晶の中にいるのかは分かりませんでしたが、その隣には寄り添う1人の女性の姿がありました。彼女も私同様、実体はなく、魂だけで…。彼女はその男性が閉じ込められている結晶に寄り添い、


「やっと見つけた。復活した後、あなたに会えることを楽しみにしています。」と笑みを浮かべながら話しかけていました。


 その後転生し、私は実体を得て、この地上に初めて降りたったのですが、それは元騎士団長ダズフードの邸宅でした。この家の玄関に座り込んでいた、幼き私を見つけたのがダズフードの妻エラ。ダズフード夫妻には子供がいなかったため、私は本当の子供のように愛され、ダズフードは私にいろんなことを教えてくれました。彼が知っていることすべてを…。


 それが破壊神復活の片棒を担ぐことになっていたとは、この時の私は…、何1つ知りませんでした。」悲し気な表情で話すサイファ。


「何をしていたんですか?」私はすかさず聞く。


「人間と石の適合実験です。人間を拉致し、石との適合を見る。私はそれがこの世界を幸せにする仕事だ」と教わってきました。石と適合した人間が、私たちに幸せをもたらしてくれるのだと…。


ある時、父が出かける間際、私に言いました。


「母さんを頼む。」突然そんなことを言い出したので、何かおかしいと思い、私は後をついていきました。すると、父はある若い女と会っていました。そしてその女に、集めたたくさんの石を渡していたのです。すべての石を渡した父が帰ろうとするともう1人女が現れて…その女が石を見て、突然狂ったように笑い出し、


「ははははは。あったわ。これよ。この石よ。」と叫び、父を呼び止め、


「この石さえあれば…、お前はもう用なしよ。」と父の頭に手を当て、何かを呟いていました。その声が大きくなるにつれて、父のうめき声も徐々に大きくなり…、最終的に父の姿は膨張、破裂し跡形もなくなってしまいました…。


 その衝撃の大きさに私は思わず声を出してしまい、それに気づいた女に殺されかけました。動きを封じられた私の首に、女の手が触れた時、私の体に天から稲妻が落ち、女はその衝撃で天空に消えました。


 そして私の傍に、この緑の石が落ちていたんです。そして、この石から全てが見えました。あなたたちの置かれている状況。目的。父ダズフードを洗脳した女の事。そして、結晶に閉じ込められていた男の正体を…。


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