【迫るその時~空から降る人々~】
「まさか…、が本当になった…。こんな事があるんだな…。」石を見つめながら呟くフィン。
「よりによって、フィンが?」想像をはるかに超えた事態に仲間たちはそんなの有り得ないと言わんばかりに言葉を発する。
「絶対あり得ないって思ってたのに…。」
「そうだな、フィンだけは絶対ないと思ってたのにな。」
「まさか、使徒として一番最初に判明するなんて誰も思わないわよね。」
仲間たちが口々に好き勝手言う状況を黙って見ていたフィンだったが、とうとうしびれを切らして、
「おいおい、確かに俺は「王」ってキャラじゃないのは自覚してるさ…。でもさぁ、露骨にそうやってみんなで…、もう悪口じゃん。俺立ち直れない。」そう言ってしょぼんとする。
「そんなことないですよ!今まで騎士団を引っ張って来られたんですよね?私には、あなたの本質も見えました。魂は美しく、とても実直な方でいらっしゃる。大丈夫。私のお墨付きですよ!」エルフリーデはそう言うと、にこっと笑ってフィンを励ます。
その言葉を聞いたフィンは、目を輝かせ、
「みんな、聞いたか?分かる人には分かるんだよ!なっ!」さっきとは打って変わって、超上機嫌になる。それを見たアラベルは、苦笑いしながら、
「はいはい、分かりました。で、いろんなものが見えたんでしょ?その中で…過去とか未来の中で何か目ぼしいものは見えたの?」表情を戻し、真剣な面持ちで尋ねる。
「あっ、ああそうだ…。莉羽、早く石の保持者を見つけ出さないと大変な事態が起こる。もう時間が迫ってきている。」そう言うフィンの額から汗が滲んでいるのが見て取れる。
先ほどの和やかな空気は一瞬にして消え失せ、仲間たちは即座に緊張の渦中に落とされる。フィンのただならぬ様子から余程の事態が待ち受けているんだということが嫌でも理解でき、誰もが息を飲む。
「何が起こるの?」私は恐る恐る尋ねる。
「状況がよく、分からないから、俺自身も何が何だか分からないけど、なんだかやばそうだなって事だけは分かった。」
「何よ、それ…。」アラベルは少し呆れて言う。しかしその後のフィンの放った言葉に場が一瞬にして凍り付く。
「何かとてつもなくやばい映像が見えた…。無数の人たちが空から降ってるんだ…。」




