【美の化身~エルフリーデの正体~】
フィンが金髪の美女に尋ねる。確かにファータ王との戦いから、仲間全員が非常に気になっていた存在であるが、あまりに高貴なオーラを纏っているために、誰も声をかけられずにいたのだった。
フィンに尋ねられた彼女がその美しい唇から言葉を発する。
「自己紹介が遅れましたね。大変失礼いたしました。私は兄エルフィーと異母兄妹のエルフリーデと申します。」
その奏でるように発せられた声は、透明感に溢れ、髪をかき上げる何気ない動作の1つ1つが「美」の一言に尽きる。すっきりとした理知的な琥珀色の瞳、透き通るような色白の肌、衣服の上からもたわわな胸の膨らみ、腰のくびれが分かるほどの女性らしいメリハリのある体の美しいラインに、特に男性は釘付けになる事間違いない…いや、もうすでに虜になっていた。エルフィー皇子とこの女性が並んでいるだけで、後光が射しそうな雰囲気が容易に想像できる。
「エルフィー皇子の妹君?」コンラードが驚きのあまり大声を出し、その声に女性たちが驚く。
「すみません。まさかのお話に取り乱しました…。エルフィー様に妹君がいらっしゃるなど初耳でして…。」コンラードは恐縮して言う。
「そうですよね。私の存在はおそらく知られていないと思います。正確に言いますと…「知られてはならない」存在でしたので…。それ故、物心ついた時はすでに、何者かに命を狙われ、この星を逃げるように生きてまいりました。
それが先日の結婚式の際、お忍びで王宮に出入りしている所を見られてしまい、兄を拉致したという濡れ衣を着せられ、国王ルドヴィク13世から追われる事になりました。しかし、家臣たちの助けで、何とか生き延び、王宮で探し物をしていたところ、王と皆さんの戦闘が始まったので、それにお邪魔させていただきました。久々の戦いでしたので、力を十分には発揮できなかったのですが…。」
そう話す物憂げな表情も、はかなげで美しく、男性陣は見とれてしまっていた。だがその中で1人、エルフリーデの戦闘力の高さを目の当たりにしていたフィンは、
「あんな凄い力見せ付けておいて、発揮できなかったって…、どんだけだよ。あれ以上の力を持ってるってことか?」と苦笑いをしていた。




